営業のはじめの一歩、それは電話で相手先の人と会える日程を調整することです。
この工程を省き、飛び込み営業を書ける人もいますが、それは殆どの場合、歓迎されません。
約束もしないでいきなり顔を出して、話を聞かせてもらおうというのは虫が良すぎます。
電話でアポイントをとることは、あなたの成長にも役立ちます。
というのも、多くの場合、電話のアポイントメントは断られます。
その断られ方も、やんわりとしたものから、きっぱりしたもの、すごく態度の悪いもの、と様々です。
あなたは、ここで営業の厳しさを知ることになります。
そして、「こんなことでクヨクヨしていては、営業なんてとてもできない」ということも理解しなければなりません。
もちろん、中にはすごく優秀な人もいます。
行った先でことごとく注文を受ける営業マンもいるかもしれません。
しかし、世の中の営業マンの半数以上は、そのようなスーパー営業マンではありません。
ほとんどの営業マンにとって、営業は十中八九うまくいかないものだということを頭に入れておいてください。
これを理解しておかないと、断られたときに酷く傷つきます。
ちょっとしたことで心を痛めていては、この先やっていけません。
あなたは早々に「自分は営業に向いていないのだ」と思い込み、会社を去ることでしょう。
もちろん、その考え方が合っていることもあるでしょう。
その仕事に向いていないという場合が確かにあります。
しかし、対人関係の能力は、どんな仕事に就いていたとしても、必ず必要になります。
営業に向いていないから事務職をやればいい、という安易な考えでは、事務職に就いたとしても対人関係でトラブルになってしまいます。
それよりも、今営業をやっていることを前向きにとらえ、せめて営業をやっている間に、何か対人関係能力を身につけてやろうと考えるようにしましょう。
さて、電話のアポイントをするにも、いきなり闇雲にかけていたのでは効率が悪すぎます。
そのまえにやるべきことがあります。
以下の3点について考えます。
電話で話したときに相手に与える印象は、話し方で決まります。
暗すぎるのはダメ、軽いノリもダメ、強引すぎるのもダメ、弱気すぎるのもダメです。
最適な話し方のポイントは以下の4つです。
まず謙虚な姿勢で話さなければなりません。
そのためには敬語を使い、なれなれしくならないことです。
あなたが謙虚であるかどうかは、話し方で伝わってしまいます。
普通の人は、横柄な人、いい加減そうな人とは、会いたくありません。
あなたが会うか会わないかは、相手が決めることです。
あなたに会わなかったとしても、相手は特に痛くもかゆくもありません。
会ってほしいと思っているのは、あなただけなのです。
ですから、最初から相手にアドバンテージがあると思ってください。
あなたは相手の機嫌を損ねないように、丁寧に接しなければならないのです。
話し方には怪しい話し方、というものがあります。
どんなに丁寧に話しているつもりでも、変な話し方だと、それは怪しい話し方になってしまいます。
怪しい話し方をされると、怪しい会社なのではないかと疑われてしまいます。
その結果、会ってもらえなくなるのです。
前述にもあるように、なれなれしい話し方は厳禁です。
また、やけに型にはまった話し方も、機械的で違和感を与えてしまいます。
あなたが、人と普通に話をするときに、そんな話し方をするでしょうか。
よく、何か話をしていて、相手が答えると、「はい」と確認するように、必ず答える人がいます。
これなどは、典型的な気持ち悪い話し方です。
何かコンピュータに入力したり、質問項目を埋めているのだな、と思わせるような機械的な話し方です。
また、話すスピードが速すぎる人は、落ち着きのない人だと思われ、調子がいいだけであまり仕事ができなさそうな印象を与えます。
落ち着いてゆっくりと話すことを心がけましょう。
ポイントは、あなたが目上の人と話す時の態度と同じ態度をとればいい、ということです。
丁寧でいて、適度な緊張感があり、敬う気持ちもある、そういった話し方です。
謙虚でいて、ナチュラルな話し方をした上で、伝えなければならないことはすべて伝えます。
まずあなたは怪しいものではないことを、話し方で相手に伝えます。
次に自分が何者であるのか、電話を掛けた目的は何なのか、どんな会社であるのか、相手にとってどのようなメリットがありそうなのか、そういったことを順序立てて相手に分かるように、丁寧に話さなければなりません。
そのためには、自分の会社のことを簡単に説明できるようになっておくのはもちろん、短時間で自己紹介できるようにしておきましょう。
最後に、相手が全く会う気がなさそうであれば、粘る意味はありません。
といった返事が来た場合、それはどう粘っても会う気はないと考えましょう。
こういう人に、無理やり「挨拶だけでも」と会ったところで発展は望めません。
素直に引き下がりましょう。
また、相手が会える日時を指摘してきたときには、極力その日に会いましょう。
運悪く都号が悪い日を指定されてしまった場合でも、相手が日時を指定してきているということは、会う気になってくれているということなので、他の日に会ってくれる可能性は大いにあります。
そこは交渉次第です。
しかし、相手が会える日をわざわざ教えてくれたのに、「その日はダメなんです」と勝手に電話をかけてきておいて、会えないと言われると、相手は若干むっとします。
ですから、ダメである場合には、極力丁寧に、申し訳なさそうに言いましょう。
話し方が与える印象はこれまで説明してきました。
次は、話す内容そのものを準備しよう、という話です。
幾ら印象のよい話し方であったとしても、何を言っているのかがわからなければ、会おうとは思ってもらえません。
「わたしたちは、~を扱っている会社です。一度ご挨拶にお伺いしたいのですが…」
これは電話アポでの常套句です。
断り慣れている人は、この時点で「~は今のところ検討しておりませんので、結構です」と断ってきます。
一度断り文句を言われてしまったら、その後あなたがどんなに粘ったとしても覆すのは至難の業です。
相手は早く電話を切りたくて仕方がないのですから、何をっても「やはり結構です」と頑なに断られてしまうでしょう。
こういうときは、予め相手にYesと言わせる質問するという方法もあります。
相手が一度Yesというと、Yesを言いやすい雰囲気が形成されていくからです。
「わたしたちは~を扱っている会社です。特に○○という分野に強いのですが、××なども手掛けています。喫緊で□□が必要という問題はございませにょね」
「はい」
「それでは、万が一そのような問題が生じた場合には、お声掛けいただけるよう、わたくし共の会社の優位な点や得意分野といったものをご案内申し上げたいのですが、ご都合のよろしい日に伺わせていただいてもよろしいのでしょうか」
このように言った方が丁寧で謙虚です。
相手には断ることも受け入れることもできるように話をしています。
最初に書いたように、会うか会わないかは相手の気分次第なのです。
これで断られたとしても、それは仕方のないことなので、気持ちを切り替えて次に行くしかありません。
そして、話の構成にも気を配りましょう。
丁寧に、中身のある話をしても順序がバラバラでは相手には伝わりません。
まずは、自分の会社名をフルネームで、株式会社の場合は、「株式会社」まで伝えます。
自分の会社名を略称で言うのは、迷惑電話の業者と思われてしまうので、しないようにしましょう。
次に自分の名前をゆっくりと正確に伝えます。
それから本題です。自分の会社が何をしている会社で、何の目的で電話をしたのかということを伝えます。
名前と会社名は、もしアポをとりつけることができたのであれば、電話を切る直前にも伝えましょう。
その際、電話番号も伝えておくと、相手に急用が入ってしまった場合に対応することができます。
以上の準備ができたところで、相手に電話をかけましょう。
何度も言うようですが、どんなに準備をしていても、断られるときは断られます。
そのときは、潔く諦めて気持ちを切り替え、次の会社に電話をしましょう。
断られたときは、なぜだろうと理由を考えて、さらに改善していこうとする姿勢を持ち、「自分はダメだ。向いていない」とすぐに諦めずに、次回につなげることを考えましょう。