飛び込み営業とは、相手との約束をとりつけずに、ぶっつけ本番でいきなり企業に訪問して、会ってもらおうとする営業行為です。
飛び込み営業は、「あり」か「なし」かで言えば、「なし」です。
いきなり相手を訪問するということは、相手が仕事をしているのに、その手を無理やり止めさせて、あなたの応対をさせるということです。
しかも、あなたは大した情報も持ってきていません。
挨拶したい、取引したい…とあなたの都合を押し付けるだけなのです。
ダメ元で無理やり押しかけて、担当者に会えればよし、会えなくても仕方がない、というスタイルは、泥臭い方法でもあるのですが、昨今では、単純に会社に報告する材料を集めるために適当に訪問しているだけではないかと思われる営業マンが散見されます。
「本日は○○件訪問した。反応は××だった」という日報を書けば上司に怒られない、という自己都合の押しつけです。
そこには、自分が成長しようという気概が見えません。
どうやれば商品が売れるのか、という仕事に対する真摯な気持ちがありません。
給料をもらうために、怒られないために、日報さえ書ければそれでいい、取引できるかできないかは運次第だ、という姿勢でいては、せっかく営業職に就いているにも関わらず、いつまでたってもその仕事で自分を磨くことができません。
そして、気づけば30代・40代になっており、やっぱり仕事の仕方がわからないままです。
むしろ、その頃になると、間違っているにも関わらず、「これでいいのだ」と勘違いしてしまっているでしょう。
あなたは、「あの人は使えない」と後輩から陰で蔑まされていることにも気づかず、間違った手法を新人に教えているかもしれません。
飛び込み営業をやっていればいいと、いい加減に考えていても、いいことは一つもないということです。
さて、ここまで飛び込み営業はなしだ、という話を展開していますが、飛び込み営業が許される場合が3つあります。
その業界では、基本的に飛び込みで営業をするものだ、という風に、慣例的に飛び込み営業が行われている場合のことです。
普通、営業をするときには、相手先に担当者がいて、その人に会いに行くものです。
ですから、相手の都合が悪い時に行かないように、事前に約束を取り付けるのですが、この問題が生じない場合があります。
それは、担当者が決まっていない場合と、担当者に会う必要がない場合です。
前者は、複数の担当者がいて、そのうちの誰かは必ず応対してくれることになっている状態です。
後者は、資料を置いていくだけで目的を達することができる場合です。
いずれにしても、慣例的に飛び込み営業が許されている場合は、飛び込み営業があなたの勤める会社の方針として、示されていることが多いでしょうから、まずは飛び込み営業をしても許される業界なのかどうかを社内に確認しましょう。
ただし、本来ならアポをとらなければならないのに、先輩社員が、飛び込み営業で構わないと勘違いしていて、「飛び込み営業あり」と説明を受ける場合もあります。
これは、その人だから許されているのか、その人も許されていないのに日報を書くためにやっているのか、いずれにしても、あなたが真似をしても得はしません。
その業界というよりも、その取引先で、飛び込み営業をしても嫌な顔一つせずにあってくれる担当者がいることがあります。
また、あなたが訪問する前からその企業は、既存顧客であり、先輩が既に飛び込み営業をしても構わない、という地盤を作ってくれている場合には、飛び込みをしても構わないでしょう。
もし、新規に飛び込みをして会ってもらえたとしたら、あなたは運が良かっただけです。
小さな商店や会社であれば、会ってくれるかもしれませんし、人のいい年配の人ならば会ってくれるかもしれません。
しかし、そうでなければ会ってもらえたとしても、印象は悪くなっているかもしれません。
「面倒なのが勝手に来た」程度にしか思っていもらえません。
そこから、あなたの印象を良くして、さらに契約にまで持ち込もうというのであれば、アポをしていったときよりも、困難な道を選んだことになります。
例えば、小さな商店で、店先で店長と3分程度話をして、済んでしまう場合です。
チラシを置かせてくださいといったようなお願いをするだけのケースがこれに当たります。
この場合、相手にとっては、金銭的な取引が発生しないので、あまり嫌がられることはありません。
もちろん、チラシの内容にもよります。
ただし、本当に短時間なので、どれほどの営業効果があるのかと考えれば、あまりやる意味はないかもしれません。
さて、ここまで読んで、それでも飛び込み営業をするというのであれば、言えることはただ一つ、「真剣に」営業することです。
真剣に仕事をするなんて、当たり前のことかもしれません。
しかし、これができていない人は実に多いのです。
真剣に仕事をするとは、「自分なりに」ではなく、相手に伝わらなければいけません。
真剣にやっているという迫力をもって、相手と会うということです。
ヘラヘラ笑わない、軽いノリで話さないのは当たり前です。
若い人に多いのですが、学生気分の延長なのか、こういった態度で来る人がいます。
大抵の場合は緊張しているものですが、中には緊張感のない人もいます。
また、「真剣さ」と「押しつけがましさ」を混同している人もいます。
その場で何が何でも売ってしまおうという姿勢は、やはり好まれません。
いきなり決定権者に会わせてほしいと言っても、それは認められません。
きちんと段階を踏んでいきましょう。
このように、飛び込み営業が許される場合も確かにあります。
しかし、許される状況であっても、アポをとって行った方が、相手の空き時間に訪問できるので、じっくりと時間を取ってくれます。
いずれにしても、飛び込み営業がありかなしかでいえば、多くの場合は「なし」だということです。