営業先で、相手と話をするときに、相手の気を引きたいと思って、簡単に約束をしてしまうことはありませんか。
簡単に約束するのはあなたの勝手かもしれませんが、一度かわした約束は必ず守らなければなりません。
自分を売り込むために、相手が言った、ちょっとしたことに過剰に反応してしまうと、上のようなセリフをつい言ってしまいます。
あなたにとっては、その場のノリ、という反応かもしれません。
この軽い気持ちの約束は、その場では相手にとっても「ああ、そう。それならお願いしようかな」という程度のものでしかありません。
しかし、だからといって、この約束を守らなかったら、「あいつは嘘をついた」と思われてしまいます。
この軽い嘘は、相手の信頼感を裏切る、重大な嘘なのです。
あなたが相手とのつながりや信頼を得たい一心で、ついうっかりしてしまった約束であっても、約束した以上は必ず守らなければなりません。
実のところ、この約束は相手にとってはそれほど重要なものではありません。
また、こちらがその約束を守ったからと言って、相手があなたに何かお返しをしてくれるわけでもないでしょう。
それどころか、あなたは何でも屋のように「頼めばなんでもする人」と思われてしまう可能性もあります。
ですから、無暗に約束をするものではありません。
しかし、一旦約束をしてしまったら、それを反故にすることは許されません。
そのくらい「約束」とは厄介なものなのです。
それでも成り行き上、約束をしてしまうのであれば、「守れない可能性もある」ことを臭わせる約束にしなければなりません。
というような約束の仕方の場合、できない場合もあるという逃げ道を作っています。
ですから約束を守らなくても嘘をついたことにはなりません。
だからといって、約束を守らないよりは、ちょっとしたことでも言ったことを必ず守ってくれる人の方が、やがては信用されるようになります。
もちろん信用されるまでには長い道のりがあります。
何度も言うようですが、約束を守ったからといって、相手はあなたを見直したり、信用できる人だと思ったりすることは、あまりありません。相手は「あなたが勝手に約束して、勝手に守った」程度にしか思ってくれないのです。
あなたが勝手にやったことに対して、負い目を感じる人はいません。
あなたが、軽々しく約束をして、その約束を守るために努力したとしても、その努力は実らないことの方が多いのです。
それでも、約束をしてしまった以上は、守らないと「反故にした、いいかげんな人だ」という悪い印象を与えることになります。
さて、約束の中には、してもいい約束、した方がむしろいい約束もあります。
それは、「相手が~してみるといいよ」というようなアドバイスをくれたり、相手が何かをしていて、自分でもやってみようと思ったときです。
「わたしもやってみます」
と、言ってみましょう。これはすなわち約束です。
この約束は、守る必要はあまりないかもしれませんが、守ってやってみたこととその感想を相手に伝えると、共感を得られてとても喜ばれます。
また、話の流れにより、「何か解決策はないか」と相手から自発的に相談された場合、「考えてみます」「今度お持ちします」と約束をしましょう。
相手から頼まれたことですので、それを達成してあげることは、相手を喜ばすことになります。
相手が相談を持ちかけていないのに、「わたしが何とかしましょう」と約束しまうと、それはあなたが依頼を受けてもいないのに、勝手に「やる」と言っただけになってしまいます。
約束を次への小さなステップとするか、ただの足かせにしてしまうかは、約束の仕方によるのです。