人間というのは、どんなに気を付けていても、ふとした気の緩みで普段の振る舞いが出てしまうものです。
行動や言動については、普段から気を付けて丁寧に振る舞うような癖をつけておいた方がいいでしょう。
また、仕事の時とプライベートの時では当然振る舞いは違うものです。
仕事の時もプライベートのノリで振る舞っていると、いざ訪問先の担当者と話をするときになって、丁寧に振る舞っているつもりが、地が出てしまいます。
今回は、そういう例として、以前会った男女二人組の営業マンの話です。
電話でのアポのときは、女性の声で、感じの良い話し方だったので、受けることにしました。
当日来社したのは二人組で、電話で話をした女性のほかにもう一人、入社して7~8年目という感じの男性がいました。
メインで話をするのはこの男性で、女性はほぼ話すことはなく、たまにサポート程度に資料を出したり、資料の概略を説明するという感じでした。
それならそうと、最初から当日は二人で伺いますと伝えてほしいところです。
一対一よりも、二対一の方が数で勝るので、営業をしやすくなる、ということはあります。
営業を受ける側としても、二人で来られると、若干圧迫感があります。
とはいえ、たいていの場合は、ベテランと新人の組み合わせなのですが、この日は新入社員レベルの若手と、入社して数年の若手のコンビだったので、そこまでの圧迫感ではありませんでした。
その会社は、システム、ネットワークインフラ、ハード販売、ソフトウェア開発など、いわゆるIT系商社のような会社でした。
昨今では、この手の会社は本当に多く、よほどのアピール力がなければ、取引してもらうのは難しいのではないでしょうか。
当然、同業他社だって出入りしている可能性もありますし、そういう他社動向を聞いてみるというのも営業訪問の目的の一つであってもいいでしょう。
しかし、この日はそういったことは聞かれませんでした。
一通り話を聞いて、男性営業マンは今後やろうとしている計画はないか、という問題解決型営業の、教科書通りの質問をしてきました。
ゴリ押し度が強い営業マンの場合には「特にない」と答えることにしているのですが、この営業マンはそれほどゴリ押ししてくる様子はなかったので、これまでやろうとしたことで、コストが高すぎてできなかったことなどを伝えてみました。
すると、「なるほど、それなら○○位のコストがかかりますね」と答えてくれました。
しかし、そのコストでは到底こちらの決裁が下りない水準だったので、高すぎると伝えました。
たいていの営業マンはこの時点で「あ、この会社は無理だ」と悟ります。
財布のひもが固い会社と取引をしても、儲けは少ないので、それでも利益を出せるような会社でなければ取引は難しいでしょう。
ここで、その男性営業マンは、自社の技術チームとのやりとりの話などもしてくれました。その途中、話がノッてきたのでしょうか、突然、
「『そーじゃねーよ、こっちはそこを何とかしてくれっつてんだろ』っていう話なんですよ」
と言い出しました。
初対面にも関わらず、いきなり横柄な言葉が飛び出したので、面喰らってしまいました。
こういうところに若さが出ているのかなとも思いましたが、やはり汚い言葉遣いはいただけません。
友達感覚でいるのかな、と思われてしまいます。
どんなに話がノッてこようが、「相手はお客様」という考えを忘れずに、常に丁寧に対応するように心がけましょう。