ホーム気に入られる営業活動術付け焼刃の心理テクニックを使う営業マン
あなたは自己啓発や心理テクニックの本を読んだことはありますか?
わたしは一時期読み漁ったことがあります。
では、その心理テクニックを相手に対して使ったことがあるかと聞かれたら、ありません。
この手のテクニックは一長一短に身につくものではありません。
ですから、本当に使おうというのであれば、日常から少しずつ使っていく方がいいのですが、そのようなことばかりしていると相手から嫌われる可能性もあります。
また、私の場合はそこまで心理テクニックを使わなければならない状況はなかったということも理由の一つです。
いずれにしても、不必要にテクニックに拘らないことも大切です。
しかし、この心理テクニックは覚えておいて損はありません。
なぜならば、相手が使ってきたときの防御策を考えることができるからです。
以前、二人組で営業に来た、ある会社の人たちは、一人が年配の上司、もう一人が若手という組合せでした。年配の上司は小手先のテクニックに頼ることはしなかったのですが、若手の営業マンは、明らかに何かの本を読んで知ったと思われる心理テクニックを使ってきていました。
彼の手口は、「相手の名前を呼ぶ」というものでした。
相手の名前を逐一呼ぶことは、名前を覚えることもできるし、相手も嫌な気はしない、とビジネス書等に書かれていることがあります。
彼はこれを実践してきました。会話の最初に必ずこちらの名前を入れてきたのです。
しかし、このテクニックは、それ以外の基本が備わっていて、初めて意味があります。
それ以外の基本とは、話し方に落ち着きがあり、自社製品の説明にも詳しく、信頼感の持てるレベルに達している、ということです。
そういう人が、プラスアルファの武器として使うのであれば、好感が持てたかもしれません。
残念ながら、このテクニックを使った営業マンは、まだ自社製品にも詳しくなく、落ち着きのある話もできず、常に上司に頼っている人であったために、小手先のテクニックを使っていることが小賢しい印象を与えてしまいました。
一度このような印象を与えてしまうと、彼の話はもちろん、一緒に来ている上司ですら胡散臭く見えてきてしまいます。
そして、「彼らには絶対に騙されないようにしなければ」という穿った目で見ることになります。
たとえ、話に説得力があったとしても、本で読んだままの心理テクニックを使ってくるのであれば、同じような本を読んで知っている人に対しては通用しません。
心理テクニックを使っているなと気づかれた瞬間、その営業はいくら時間をかけても成功しないでしょう。
ですから、小手先の心理テクニックに頼るよりも、相手先の会社の下調べや、自社製品の勉強などに心血を注いだ方が、よほど有意義に営業活動を行うことができます。
そもそも、自分に有利に進めようという考え方で営業をしていたのでは、相手を騙そうとしているのと大差ありません。
そうではなく、相手の求めているものは何かを考えて、相手のためになるような提案をしていこうと知恵を絞るようにしなければならない、ということです。