平社員が会社で仕事をしていて、自分と直接関わりあいのある上の存在というと、先輩社員か直属の上司くらいしかいないでしょう。
実際、あえて関わろうとしなければ、会社ではその範囲内でおさめることができます。
また、大企業ではそれ以上の存在と関わることは、直属の上司が嫌がるので難しいかもしれません。
直属の上司より上の存在、課長、部長…と辿っていき、突き詰めた先にある存在。
すなわち役員です。
役員とあなたが人間関係を構築することは、会社生活ではかなり有利な状況をもたらします。
経営者と仲良くなることは、とても重要な行為です。
仲良くなるとは、文字通り、挨拶を快くするだけの関係ではなく、会えば雑談をして、時間のある時はプライベートの話にまで踏み込んで、時には相談事までしてしまう、といった関係のことです。
二人で飲みに行けるようになれば大したものです。
このような関係をつくりあげることができれば、あなたと経営者の間に信頼関係が生まれます。
信頼関係が生まれると、あなたが困った時には助けてくれるかもしれません。
あなたの悪評がたったときでも、鵜呑みにはしないでしょう。
一緒に話す機会があれば、そのような噂が出ているけれど本当かと確かめてくれるかもしれません。
それだけではなく、あなたの言うことに耳を貸すようになるので、仕事上でも、人間関係でも、あなたに有利に事を進めることができるようになります。
また、重要な経営者だけの会議に、あなたがたまたまその場に居合わせるような場合に、「この人は大丈夫、信用できるから」と言われ、出席を許されたり、あなたがいる場所で、重要な話をそのまま続けることもあります。
さらに、仲良くなる経営者は、自分の部門の役員だけでなく、普段あまり会わない別の部門の役員であっても効果的です。
役員の中でも「この人の意見は無視できない」という重鎮クラスや新進気鋭をおさえておくと、より有利になります。
経営者とこのような関係を作り上げるには、普段から挨拶をしたり雑談をするのは当然ですが、それだけではなく、あなたは仕事上、「信用できる」と思われなければなりません。
より経営者に近いポジション(総務や経理など)にいると、信頼関係を築きやすくなります。
かばん持ちのように、近くにいる場合も同様です。
仕事で信頼してもらうには、以下の3点を心がけましょう。
このような仕事の仕方をしていくと、あなたがいなければ困るという状況に持ち込むことができます。
仕事に関しては、あなたの意見や助言が必要になるので、あなたはより重要なポジションにいると認識されるようになります。
一人の経営者が信頼してくれると、他の経営者も追随して信用してくれるようになります。
つまり、「経営層」に信用されるようになるのです。
皆からの信頼が篤ければ、当然あなたは安泰、ということです。
中小企業では、積極的に関わろうとしていれば、経営者と関わることはそんなに難しいことではありません。
注意しなければならないのは、あなたの直属の上司との関係も、壊れないようにしなければいけないということです。
以下に上司のタイプ別の振る舞い方を考えます。
このタイプの上司は、部下から頼られることを嫌います。
会社のためを考えるよりも、自分のことを優先しがちです。
「管理職にさせられてしまった」という意識を持っており、役員レベルの人たちと話すのが苦手です。
彼らは、あなたが役員レベルの人たちと関係を構築することに嫌な顔はしません。
あなたは、自分の仕事で、上の人が承認を得る必要があるものについて、事前に根回しをして、役員の承認を受けてしまえば、あとは直属の上司に「上の方には話をして了解を得ています」と言っておけば、問題なくその案件は通ります。
それを上に回すのですら、面倒くさがっているのであれば、承認印だけもらって、その書類を自分でもっていけばいいのです。
自分がすべてをコントロールしたい、というワンマンタイプの上司は、自分を超えた先で勝手に部下が話をつけてしまうことを嫌がります。
「自分が承認していないのに、勝手に役員と話を進めるとは何事だ」というわけです。
このタイプは生真面目で部下の仕事はすべて自分で最終チェックしなければ気が済まない、という人も含まれます(余談ですが、こういう人のもとで働く部下は、すべて上司がやってくれるので、自分で考える必要がなくなり、成長をあまりしません)。
このタイプの場合、上司の裁量が大きく左右する案件については、上司の判断に任せましょう。
上司がよくわかっておらず、自分の方がよくわかっている案件や、上司が忙しくてそれどころではないという態度を見せているときには、あなたが役員に根回しをしておくと、スムーズに進むこともあります。
責任をとりたくないので、面倒なことには首を突っ込まない割に、自分を飛ばされることは嫌がる、というタイプです。
上司としては部下に一番ストレスを与える存在です。
こういった上司の場合は、根回しをせずに話を持っていくと、なかなか動いてくれません。
かといって、「根回ししておきました」と勝手に話を進められることも嫌がります。
ではどうするかといえば、やはり根回しはしておきましょう。
その上で、根回しをしたという事実を伏せて話を進めるか、それでも動かない時は、雑談程度に役員レベルの人と話をしたときに感触が良かった、というような感じで、多少は話が通っていることをにおわせるといいでしょう。
このタイプの上司はプライドが高いので「自分が話をして通した」という実感をほしがります。
会社において、あなたの身を守ってくれるのは、直属の上司ではありません。
守ってくれる人もいますが、最終的には皆自分の身が可愛いので、ある程度のところで身を引いてしまいます。
あなたの身を守れるのはあなた自身しかいません。
身を守る手段として自分の親派を増やしましょう。
直属の上司より部門長、部門長より役員、役員の中でも力を持っている役員、というように、味方につけるべき人物にもランクがあります。
あなたは、今の自分が置かれている立場から、できるだけ強い力をもつ人物との人間関係を構築するように努力しましょう。
それは、役員を動かす力のある誰かを味方につけるよりも、役員そのものを味方につけた方が、手っ取り早く安全である、ということです。