「会社には仕事をしに来ているのであって、無駄話をしに来ているわけではない」と思い、余計なことを極力せずに、ただ黙々と仕事に没頭していませんか?
「そうだけど、それのどこが悪いの?」と思いますか?
実のところ、無駄なことを省いて作業することは、会社にとってはとてもありがたい社員です。
しかし、長い目で見ると、さほどありがたい社員でもないし、自分のためにもなりません。
無駄話自体には、仕事を進める力はありません。
無駄話をしすぎれば、仕事は止まってしまうので、会社には悪影響です。
では、なぜ無駄話がいいのでしょうか。
それは、職場をギスギスさせず、雰囲気をよくするからです。
ギスギスした職場では、失敗をすればイラつくし周りがフォローしようともしません。
ミスを人のせいにしたり、人の足を引っ張って手柄を独り占めしたり、いいことはありません。
仕事の効率性を追求するあまり、ギスギスとした職場環境を敢えて目指す経営者もいますが、そういった職場が生み出す弊害を知らないのではないでしょうか。
ギスギスした環境が生み出す弊害を理解すれば、会社のためには多少の「あそび」も必要だとわかるはずです。
無駄話をしないでいると、同僚とは、「完全に仕事だけの関係」と割り切って付き合うことになります。
雑談をしないということは、相手の人となりを知ることないし、仲良くなる環境もできないことになります。
こういう環境を推奨する管理職というのは、スーパーマンであることがあります。
つまり、かなり仕事ができる人ということです。
こういう人は、まわりの人にも自分と同じ水準の仕事を要求するために、できない人に対して極端にイラつく傾向にあります。
人には得手不得手が必ずあるものです。
そこを見極めて、最も得意なことをさせて、苦手なことはそこそこにしておいたり、改善できるように方法を考えたりすることが、会社の発展には必要なのですが、自分と同じパフォーマンスを出せない人が雑談している姿を見ると、「対して仕事もできないくせに」と、締め付ける方法を模索してしまうのです。
実際には、締め付けるばかりでは社員は成長できません。
なぜならば、彼らの個性を把握して、それぞれの個性に合わせた指導をしている訳ではないからです。
結局彼らは仕事は相変わらずできない上に、職場の雰囲気ばかりが悪くなる一方で、業績が上がることはありません。
人は感情を殺して黙々と仕事を続けられるものかというと、実は続けることはできます。
しかし、コミュニケーション量が圧倒的に減ります。
コミュニケーションをしなくなれば、相手を理解しにくくなります。
相手が何を考えているか察することもできなくなり、相手を思いやった仕事のやり方を考えることもしなくなります。
つまり、他の人がどう思おうが関係ないという、わがままな仕事をするようになります。
こういう人は、注意されたとしても、自分が悪いとは思いません。注意した側の人の考え方がおかしいのだと思い、改善することはありません。
自分さえよければいい、そういう雰囲気が形成されていきます。
無駄話をすると、会話がうまれます。
その会話の中にはプライベートな話題も含まれます。
お互いのプライベートを知ると、その人の考え方や正確、趣味嗜好がわかるようになり、「わたしもそうだ」という共感や「そういう考え方もあるのか」という発見につながります。
そして、共感や発見は、親しみを感じさせます。
こうして人間関係が構築されていくのです。
人間関係ができれば、仕事でも無茶な要求を聞いてくれるようになったり、相手のことを考えた合理的な仕事の進め方ができるようになったりして、円滑に仕事を進めやすくなります。
とはいっても、無駄話を推奨する上司は、そうそういません。
また、無駄話をすることに慣れて、エスカレートしてしまうと、「なあなあ」の状態になってしまうことがあります。
そうなってしまうと反対に仕事の効率が下がります。
だから、上司に目をつけられない範囲で、そして仕事の能率が落ちない範囲で、無駄話をするように心がけましょう。
本当に他愛のない話を延々したければ飲みに行けばいいのです。
無駄話を仕事中にするのであれば、手を動かしながらできる単純作業のときとか、話をしてもごく短時間とか、無駄話がメインになるような時間の使い方をしないことが重要です。
周りとの人間関係がよくなれば、困った時に助けてくれるかもしれません。
反対に、あなたが相手を助けてあげようかなという気にもなるでしょう。
そうやって連係プレーができるようになっていくと、かけがえのない仲間になり、すばらしいチームとして仕事ができるようになります。
それが会社の業績アップにつながり、最終的にあなたの給料アップに反映される、という図式が期待できるのです。
このように、雑談をダメなもの、無駄なものと決めつけるのではなく、仕事をスムーズに進めるためのコミュニケーションツールとして考えてみましょう。