あなたが事務職であれば、電話営業を受ける機会は少なくないでしょう。
あなたは営業を受ける側ですから、会うも会わないもあなたの裁量次第です。
電話営業を受けた時、あなたは実際にどのくらい会っていますか?
私の経験からすると、電話営業の9割方は、今すぐに会う必要はありません。
あなたは自分の仕事を抱えているので、その時間を割いてまで会いたいと思えなければ断ってしまっていいのです。
これが基本的な考え方です。
今後につながるかもしれない、新しい仕事ができるかもしれない、今困っている問題を解決するかもしれない、と思うことがあった場合は、会うべきです。
しかし、何となく断りきれなくて会うというのであれば、会わないに越したことはありません。
あなたに必要な力は、電話営業を断る力です。
電話営業をかけてきて「名刺交換だけでもさせてもらいたい」「今すぐどうこう、というわけではないので、会社案内だけでもさせてもらいたい」と言われると、無下に断るのは失礼にあたるのではないかと思うかもしれません。
しかし、そのような電話に一々付き合っていては仕事の時間がなくなってしまいます。
わたしは試しに1年間、かかってきた電話営業の人にすべて会ってみたことがあります。
しかし、喫緊に問題を抱えていないのであれば、会ってもほとんど無意味でした。
相手は解決すべき問題を無理やり見つけてすぐに契約しようと考えている人ばかりで、長い目で何か問題が発生したときは連絡してほしい、というスタンスでいる人は殆どいないからです。
また、今後必要な時が来るかもしれないから会ってみた、という場合であっても、実際にその時が来ても、思い出さずにその会社に声をかけないこともよくあります。
必要な場面では、自分からよさそうな会社を調べて連絡を取るものです。
ですから、名刺交換しておいた程度では思い出さなかったり、もっと有名ないい会社があるだろうからという理由で、選択肢から外すこともよくあります。
このように思ってしまう理由は、営業マンの質も影響しています。
多くの場合質のよくない営業マンが来ます。
世の中質の良い営業マンと質の悪い営業マンの比率は、2:8位です。
質の悪い営業マンとはすぐに契約したがる営業マンです。
会社の方針でもあるのでしょうが、売ってこいと言われたものを、とにかく売りつけることしか頭にありません。
このような営業マンとは今後の話をする気にはなりません。
そもそも、「とりあえず挨拶だけしたい」ということで会っているのに、受注をその場でとろうと思っている方がおかしいのです。
「とりあえず挨拶したい」だけの人のために、30分~1時間も時間をとられ、しかも今後も取引をするつもりにならないのであれば、最初から会う必要はないのです。
ここまで、電話営業に実際に会ってみることは9割方は時間の無駄なので、断っても構わないという話をしてきました。
しかし、断りきれずに受けてしまうことは、現実的にはよくあることです。
ですから、受けてしまわないように、まずは断り方を身につけるべきです。
電話営業を断る前提として、まず、電話営業の人に実際に会って話をしても、役に立たない情報であり、あなたの仕事の邪魔をする無駄な時間だということを意識してください。
電話営業を断ることに罪悪感を覚えてはいけません。
電話営業を断ることも、「会社のため」だと考えてください。
まず彼らは、電話口で、自分の会社が提供しているサービスを簡単に説明してくるでしょう。
その次に、そのサービスについて興味があるかどうか聞いてきます。
もしくは、そのサービスを導入すべき理由を説明した後に「御社では導入していますか」と聞いてきます。
このときのあなたがするべき返事は以下の3つのうちのいずれかです。
3番目の返事が、嘘であっても構いません。
とにかく断る口実を述べているだけですから。このときに相手が、どんなサービスを導入しているのかと質問してきたら、「すみません、ちょっと忘れてしまいました」などと答えておけばいいのです。
もちろん興味がないと言ってもあきらめない営業マンもいます。
むしろそういう人の方が多いと思います。
彼らもアポをとりつけることに関してはベテランですから、興味がないと言われたら次の段階に移行してきます。
すなわち、以下のようなことを言ってきます。
このように言われてしまうと、実はあまり断る理由はありません。
挨拶するだけですから、それを拒否するというのは失礼にあたるかもしれません。
しかし、一度名刺交換をすると、それを突破口にしようとばかりに、1カ月に1回といったペースで電話をかけてきたり、「そばまで来ているので寄ってもいいか」というような確認をしてきたり、人によっては連絡もなしに勝手に会社に来ることもあります。
ですから、会うと後が面倒になるのが嫌だというのであれば、この時点で何が何でも断ってしまう方がいいのです。
「申し訳ありませんが、結構です」ときっぱりと断りましょう。
このようにきっぱりと断ったにも関わらず、さらに粘ってくる人もいます。
粘り続けていれば相手が折れるだろうと考えているのです。
しかし、このときもあなたの断り方は先ほどと同じで構いません。
「申し訳ありませんが、結構です」を繰り返しましょう。
ここから先は根競べですので、相手が諦めるまで、このセリフを繰り返しましょう。
相手の言うことに対して何かしらの理由をつけて断ろうとすると、必ずその理由を覆すことを言ってきます。
ですから、最初から断る理由など言わなければいいのです。
あなた:「興味がないので結構です」
相手:「今は興味がなくてもいずれ必要になることがあるかもしれないので…」
あなた:「申し訳ありませんが結構です」
(あとは相手が何を言おうが「申し訳ありませんが、結構です」を繰り返す)
あなたが電話で営業を受けて、実際に会う場合の理由は以下の4つがあります。
このうち、1番目以外は、会ったときに興味を示してはいけません。
なぜならば、あなたは実際には何も発注するつもりがないからです。
取引する気もないのに色々質問をしてみたり、相手の「何かお困りごとはありませんか」という質問に、本当に困っていることを答えてしまうことは、次回相手が来社する口実を与えてしまいます。
「今後必要になるときが来るかもしれない」と思って会う場合には、本当に名刺交換をして、会社案内をもらう程度と考えて会いましょう。
断りきれなくて会ったり、暇つぶしで会う場合には、あなたは会って話をするときに、相手に合わせる必要はありません。
相手が話をしているときは、ただ「はい」と適当に相槌を打ち、質問された場合には、それ以上話が続かないような、「暖簾に腕押し」的な返事に終始しましょう。
こちらの発話を促すような「何かお困りのことはありませんか」「質問はありませんか」という質問には、「特にないですね」と答えましょう。
このような「なしのつぶて」状態を相手に実感させれば、「これ以上は営業をしても無駄だ」と思わせることができます。
相手も契約の取れないところに時間を割いている暇はないでしょうから、もう一度営業をしようとは思わないので、再び会うことはなくなります。