ホーム社内での立居振舞術迷惑電話の対処法~その2:法律に照らし合わせた対処法
迷惑電話の対処法については前回触れていますが、そのときには、自分がストレスを溜めないことを主眼においていました。
しかし、最近の迷惑電話は、このような対応をしたところで日を空けて、何度でも電話をかけてくることがあります。
先日も、わたし宛てに迷惑電話がかかってきたのですが、そのときは前回示した通り30秒以内に切って対応しました。
すると、1時間後に「なんで電話を切ってしまうんですかぁ。僕何か悪いことしましたかぁ」と再びかけてきたのです。
その電話に対してもすぐに切ったのですが、するとまたその1時間後に同じように電話をかけてきました。
その日は3回電話をかけてきたのですが、それから数日経ってからまたかかってきました。
このように、こちらが電話を切ってもしつこくかけてくる人がいます。
今回は、このように何度もかけてくる迷惑電話に対して、二度と掛けてこないようにする方法を考えます。
上記のような、何度でも迷惑電話をかけてくる人には正攻法で対処するしかありません。
正攻法とは、法律を盾に取るということです。
そんなことを言っても、こちらの話を聞いてくれないのではないか、と思うかもしれません。
しかし、以下のように対応すればうまくいきます。
まず、相手が投資関係の話をし始めたところで、こちらも断り文句を切り出します。
「すみませんが、私は勧誘やセールスの類はすべてお断りしています」
多くの迷惑電ははこれで引きさがります。
その理由は後で述べます。
しかし、このようにはっきりと断っても、2度目以降をかけてくる人がいます。
そのようなときは、以下のように話します。
「先日も電話をかけてきましたね。
そのときに、勧誘の電話は断ると伝えたはずです。
「特定商取引に関する法律」に、再勧誘の禁止が定められています。あなたはこの法律に違反しているので、行政に訴え、業務停止処分もしくは免許はく奪などの対処をしてもらうことにしますが、いいですね?また、前回も含め、この会話の内容は録音しています。ですから今回が2度目の電話であることも記録されています」
このように伝えると、この電話を切った後、それ以降は電話をかけてくることはやめるでしょう。
録音を本当にする必要はないのですが、迷惑電話の主は「録音」ということを嫌がる傾向にあります。
やはり証拠が残ってしまうので、万が一、本当に行政に通報されてしまったら、勝ち目がないわけです。
録音していると言っているのに、まだへらへらしているような人に対しては、本当に録音してしまいましょう。
会議の録音のために持っているICレコーダーや、スマホに録音アプリを入れておいて、耳元に片方の手でレコーダーを近づけながら話をすれば、相手の声を録音することは簡単にできます。
また、電話から直接録音するためのアダプタも2~3千円で売られています。
このような録音機器を使って通話を録音しておき、ファイルに変換して証拠として実際に聞かせてやれば、相手も強気ではいられなくなるでしょう。
また先ほど書いた「特定商取引に関する法律」についての内容は事実です。
「特定商取引に関する法律」とは、訪問販売や通信販売など、消費者トラブルを招きやすい特定の商取引を対象とした法律です。
この法律に書かれている特定商取引とは、以下の7つです。
今回取り上げている迷惑電話は、3番目の「電話勧誘販売」に該当します。
迷惑電話に対処する際に、こちらが頭に入れておくべき条項は以下の2つです。
第十六条 販売業者又は役務提供事業者は、電話勧誘販売をしようとするときは、その勧誘に先立つて、その相手方に対し、販売業者又は役務提供事業者の氏名又は名称及びその勧誘を行う者の氏名並びに商品若しくは権利又は役務の種類並びにその電話が売買契約又は役務提供契約の締結について勧誘をするためのものであることを告げなければならない。
これは、電話営業を行う人は、まず最初に社名と自分の名前を述べ、その電話が勧誘電話であることを相手に知らせなければならない、ということです。
よく適当に略して社名を言ってくる人がいますが、それでは社名を正確に伝えたことにはなりません。
また早口で言って聞き取れないようにしてしまう人もいます。
このように社名がはっきりしないときには、何度でも社名を聞いて正確な名称を教えてもらいましょう。
それでも言わないようであれば上記の第十六条を伝えましょう。
「あなたは社名を言ったつもりかもしれませんが、私には伝わりません。『特定商取引に関する法律』には社名と氏名を正確に述べる義務が定められています。正確に教えてください。」
そして社名を正確に教えてもらったら、インターネットで検索して確認しましょう。
第十七条 販売業者又は役務提供事業者は、電話勧誘販売に係る売買契約又は役務提供契約を締結しない旨の意思を表示した者に対し、当該売買契約又は当該役務提供契約の締結について勧誘をしてはならない。
これは、一度こちらが断ったにも関わらず、そのまま継続して勧誘の話をつづけたり、2度3度と勧誘の電話をかけてはいけない」という規定です。
これらの法律に違反した場合には、行政処分や処罰が決められています。
それは「第二十二条 業務改善指示」や「第二十三条 行政処分」に規定されています。
第二十二条 主務大臣は、販売業者又は役務提供事業者が第十六条から第二十一条までの規定に違反し、又は次に掲げる行為をした場合において、電話勧誘販売に係る取引の公正及び購入者又は役務の提供を受ける者の利益が害されるおそれがあると認めるときは、その販売業者又は役務提供事業者に対し、必要な措置をとるべきことを指示することができる。
一 電話勧誘販売に係る売買契約若しくは役務提供契約に基づく債務又は電話勧誘販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の解除によつて生ずる債務の全部又は一部の履行を拒否し、又は不当に遅延させること。
二 電話勧誘販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の締結について勧誘をするに際し、又は電話勧誘販売に係る売買契約若しくは役務提供契約の申込みの撤回若しくは解除を妨げるため、当該売買契約又は当該役務提供契約に関する事項であつて、電話勧誘顧客又は購入者若しくは役務の提供を受ける者の判断に影響を及ぼすこととなる重要なもの(第二十一条第一項第一号から第五号までに掲げるものを除く。)につき、故意に事実を告げないこと。
三 前二号に掲げるもののほか、電話勧誘販売に関する行為であつて、電話勧誘販売に係る取引の公正及び購入者又は役務の提供を受ける者の利益を害するおそれがあるものとして主務省令で定めるもの。
第二十三条 主務大臣は、販売業者若しくは役務提供事業者が第十六条から第二十一条までの規定に違反し若しくは前条各号に掲げる行為をした場合において電話勧誘販売に係る取引の公正及び購入者若しくは役務の提供を受ける者の利益が著しく害されるおそれがあると認めるとき、又は販売業者若しくは役務提供事業者が同条の規定による指示に従わないときは、その販売業者又は役務提供事業者に対し、一年以内の期間を限り、電話勧誘販売に関する業務の全部又は一部を停止すべきことを命ずることができる。
2 主務大臣は、前項の規定による命令をしたときは、その旨を公表しなければならない。
以上のように、罰則規定が定められています。ここで言う主務大臣とは、内閣総理大臣、厚生労働大臣、農林水産大臣、経済産業大臣、国土交通大臣のことです。
迷惑電話をかけてきた相手に、法律違反行為があった場合には、主務大臣申出制度を利用して、不正行為があったことを行政に訴えることができます。
ですから、迷惑電話の相手にも、「主務大臣申出制度を使って苦情を言い、調査をしてもらう」と伝えましょう。
主務大臣申出性ぢに関しては第六十~六十三条に規定されています。
第六十条 何人も、特定商取引の公正及び購入者等の利益が害されるおそれがあると認めるときは、主務大臣に対し、その旨を申し出て、適当な措置をとるべきことを求めることができる。
2 主務大臣は、前項の規定による申出があつたときは、必要な調査を行い、その申出の内容が事実であると認めるときは、この法律に基づく措置その他適当な措置をとらなければならない。
第六十一条 主務大臣は、主務省令で定めるところにより、一般社団法人又は一般財団法人であつて、次項に規定する業務(以下この項及び第六十六条第五項において「特定商取引適正化業務」という。)を適正かつ確実に行うことができると認められるものを、その申請により、特定商取引適正化業務を行う者(以下「指定法人」という。)として指定することができる。
2 指定法人は、次に掲げる業務を行うものとする。
一 前条第一項の規定による主務大臣に対する申出をしようとする者に対し指導又は助言を行うこと。
二 主務大臣から求められた場合において、前条第二項の申出に係る事実関係につき調査を行うこと。
三 特定商取引に関する情報又は資料を収集し、及び提供すること。
四 特定商取引に関する苦情処理又は相談に係る業務を担当する者を養成すること。
第六十二条 主務大臣は、指定法人の前条第二項に規定する業務の運営に関し改善が必要であると認めるときは、その指定法人に対し、その改善に必要な措置を講ず
第六十三条 主務大臣は、指定法人が前条の規定による命令に違反したときは、その指定を取り消すことができるべきことを命ずることができる。
しつこい迷惑電話があった場合には、本当に主務大臣申出制度を利用してみるのもいいでしょう。
主務大臣申出制度とは、特定商取引において、消費者の利益が害されていたり、公正でない場合に、主務大臣に適切な措置をとるように求めることができる制度です。
迷惑電話の場合は、経済産業省消費経済対策課または、経済産業局特定商取引法担当課に、申出書を提出することで、訴えることができます。
主務大臣申出制度を利用する場合には、相談窓口として、財団法人 日本産業協会を利用することもできます。
財団法人 日本産業協会
〒105-0001 東京都港区虎ノ門2-5-21寿ビル5F
TEL 03-3501-3344(相談専用)