きちんと教育制度が整備されている会社は、研修を行ったり、OJT制度があって、先輩が後輩の面倒を見るようなシステムが整っています。
そうでなくても、周りの先輩が新入社員をサポートしたりフォローしたり、アドバイスするというのはごく一般的な会社の在り方といえます。
しかし、そういった先輩が後輩の面倒を見るというシステムが、中小企業では確立していないことが往々にしてあります。
先輩が後輩の面倒を見ない理由としては、以下の3つが挙げられます。
とても忙しくて、新入社員のビジネスマナーとか仕事を見ている余裕がない、と考える人のことです。
別の部署や別の課の先輩社員の場合、自分は他の部署の新人とは関係がないから教える必要はない、教えるのは彼らの部署の人がすればいい、と考える傾向にあります。
この考え方は、例えば同じ部署でなければできない仕事上のアドバイスであればその通りかもしれません。
しかし、基本的なビジネスマナーや仕事のやり方であれば、他の人であっても関係なく注意やアドバイスができるでしょう。
それでも、「それは私がやることではない」と口を出すことはあまりしません。
また、同じ部署であっても、基本的には個人プレーで動くような仕事の場合には、こういう考えの人はよくいます。
つまり、自分の仕事に直接影響がないので、放っておいても問題ない、と考えるのです。
「偉そうなことを言えるほど、自分もちゃんと仕事をしていないし…」と考える人のことです。
つまり、何か批判したとして、「では、あなたはどうなのだ」と言われたときに、反論できないので、「お互い様か」と思って注意しないということです。
こういう人は、誰かに注意されたとき、誤ったりミスを認めるのではなく、「では君はどうなんだ」と話を相手にふり返します。
人に嫌われることを極端に恐れる人もいます。
そういう文化の会社というのも存在します。
嫌われ役をわざわざ買って出たくない、そういうのは管理職がやればいい、と思っている人は、相手の仕事ぶりがひどいと思っても、注意もしなければアドバイスもしません。
以上3つの理由で、アドバイスも注意もしない先輩を持ってしまったとしたら、あなたはとても不幸です。
更に不幸なことに、彼らは黙っているわけではないということです。
このような先輩社員は、あなたに対して全くの無関心であるかというと、そうでもありません。
彼らは、あなたの行動や態度、仕事ぶりに関して、特にあなたにアドバイスをしませんが、他の人に「あいつはなっていない」と悪口を言うことは積極的にします。
モノが売れる要素の一つに、口コミがあります。
口コミは良い方向にも悪い方向にも作用します。
ある人が別の人に話、その話を聞いた人がまた別の人に…というように、ネズミ算式に噂は広まっていきます。
同じように、あなたは自分自身が商品だと考えてください。
あなたの振る舞いや仕事ぶりはあなたの品質です。
品質がよければ良い口コミとして、悪ければ悪い口コミとして、社内に広まっていくのです。
入社した当初は、学生気分が抜けません。
社会の厳しさもわかりません。
筋が通らないことに我慢がなりません。
しかし、多くの会社は、そういう一筋縄ではいかない組織なのです。
良い人も嫌な人も、同じ割合でいます。
学生の頃のように、嫌な人とは付き合わないで済むような世界ではありません。
あなたが先輩や会社のやり方を気に入らなかったからといって、真正面から非難しても、相手はあなたよりも社歴が長いだけに、一枚上手です。
彼らがあなたの非難を受けて、気分を害したら、その瞬間からあなたは彼らの敵に回ることになります。
敵となった相手は、直接的な嫌がらせから、周りの人に悪口を吹き込むという間接的な嫌がらせまで、ありとあらゆることをしてくるでしょう。
これは、もちろん新入社員に限ったことではありません。
では、あなたが誰にも嫌われないように、八方美人になればよいのでしょうか。
それも一つの答えかもしれませんが、八方美人は時として敵を作ります。
また、誰からも嫌われない存在でいようということ自体、至難の業です。
そもそも、あなたは誰からも好かれる必要はありません。
嫌いだなと思った人がいた場合、その人が周りとのコネクションを多く持っている人であったり、押しの強いタイプであったりしたら、本人との直接対決はなるべく避けましょう。
そして、もし対決したのであれば、一人で抱え込まないことにしましょう。
自分の仲だけで収めてしまうと、相手が周りにあなたの悪評を広め放題になってしまいます。
必ず、自分の仲良くしている人に、相手の言動のおかしさを伝えましょう。
対決するのであれば、噂レベルでも対決するのです。
もう一つ、非常に重要なことですが、あなたの振る舞い、言動が悪いということも大いにあり得ます。
これは、自分ではなかなか気づきにくいことです。
人は、批判や注意を素直に聞き入れることができないものです。
そのため、批判や注意をされたとき、反論をしてしまいがちです。
しかし、批判や注意は、明らかに自分に起因しないものでない限り、甘んじて受け入れましょう。
どれだけ腹を立てたとしても、「なるほど、ありがとうございます」といって、一旦引き取ってみましょう。
そして、その批判が本当に正しいかどうか、周りの人に相談してみましょう。
自分には、そういうところがあるのかどうか。
人は、仕事中に言いにくいことを言ってくれないことがあります。
だから、飲みに行くなど、場所を変えて聞きましょう。
そこで、相談のように、「本当に思ったことを言ってほしい」と頼んで、聞いてみればいいのです。
そのときに言われた批判は、恐らく多くの周りの人があなたに感じている印象です。
素直に受け入れましょう。
そして、あなたが改善するように努力していけば、自然と悪い噂は消えるでしょう。
もし、批判に対して反論ばかりしてたら、わざわざ注意してくれた人は、徐々にあなたに注意しなくなります。
その代りに陰で悪口を言うようになります。
あなたが反論ばかりする人であるならば、誰に対しても、必ず反論で返していることでしょう。
つまり、広まっている噂は「どうやら本当だ」と、噂が事実になっていってしまいます。
自分が悪いのか、相手が悪いのか、という判断は非常に難しいものがありますが、ビジネスマナーの注意や、仕事の進行に対する批判であれば、反論するのではなく、受け止めてみることをお奨めします。
大事なことは、一人でいないことです。
会社の中で、完全に孤立している人がたまにいます。
そういう人は、好んで孤立している場合があります。
つまり、余計な批判を受けなくて済むし、会社はただ給料をもらいに来ているところなので、余計な人間関係はつくる必要はないと思っているのです。
このような孤立している人は、誰かのアドバイスを聞き入れることがありません。
批判やアドバイスをしてくれた人がいても、決して受け入れず、無視します。
無視された人はやがて、あなたに何も言わなくなり、その状態があなたには心地よいので、それでいいと思ってしまうのです。
これでは、あなたは何も成長できません。
自分の殻を破りましょう。