ホーム間違いのない採用活動術エントリーシート、履歴書で判断できるか?
「学歴、経歴で判断できるか?」で述べたように、エントリーシートや履歴書と言った書類の内容だけでは、本来は採否を判断することはできません。
あくまでもその判断材料の一つとして使えるというだけのことです。
例えば、学歴であれば低いよりも高い方が使える人が、確率的に多いだろう、という程度のものなのです。
高学歴であったとしても、「それが大手で採用されずに、中小企業に就職の場を求めているのはなぜだろうか?」ということの方が気になります。
では、エントリーシートや履歴書では、どんなことを判断できるのでしょうか。
書類を見るときのポイントを以下に挙げていきます。
書類の見た目から判断できるものが、手書きの場合の文字の綺麗さです。
綺麗な文字とは、走り書きではなく、丁寧に書いているということです。
走り書きをしているということは、そこまでの思いを込めて書いていないということです。
つまり、他にもたくさんの会社を受けており、そのうちのどこかに受かれば御の字、という受け方をしているので、特にあなたの会社に入りたいと思っているわけではありません。
では書類をコンピュータで入力して印刷してきた場合はどうでしょうか。
非常に合理的ではあります。
例えば、証明写真をスキャンして、画像として貼り付けておけば、毎回お金を払って証明写真を撮る必要がなくなり、コストを下げることができます。
文章にしても、どうせ同じことを繰り返し描くのであれば、一度入力しておけば、使い回しができます。
メールで送ってしまえば、郵送料もかかりません。
また、コンピュータでつくったのであれば、ある程度のコンピュータ操作能力があるというアピールにもなります。
もしコンピュータでつくった履歴書を送ることを許可している会社であれば、構わないでしょう。
しかし、履歴書は手書きでなければダメだという慣習のある会社ならば、「こちらの指定した様式で手書きで郵送してください」というニュアンスのコメントを受験者に知らしめなければなりません。
書類からみてとれる判断材料はもう一つあります。
それが文章力です。
履歴書の項目は、殆どは名詞をかくだけで済んでしまいます。
しかし、志望動機などは文章を書く必要があります。
ですから、こういったところで、その人に文章力があるかどうかを見ることができるのです。
一般に、採用の時に年齢や性別による取捨選択はしてはいけないことになっています。
ですから、募集要項には、年齢性別は不問という文字が書かれています。
では、本当に年齢や性別は不問なのかというと、そんなことはありません。
採用告知をする際には、年齢や性別は不問と書かなければならないことになっているので、そのように書いているだけです。
実際には、若ければ若いほどいいこともあるし、40歳以下にしたいという考えの時もあります。
いずれにしても、年齢が高くなると経験値はあるかもしれませんが、基本給が高くなったり体力が低くなったりするうえ、頭も固くなっているので、コネでもなければまず敬遠することになります。
では性別はどうでしょうか。
会社によりますが、やはり女性よりも男性の方が会社を構成する人員は多くなります。
すると男性社会になるので、女性は軽んじられたり、お茶くみなどの旧時代的な役割を担わされることもあります。
そういう状況を好まない女性であれば、モチベーションは下がってしまい辞めてしまうかもしれません。
既に勤めている会社があるのならば、思い当たる節があるのではないでしょうか。
採用担当者側から見て、自分の会社が女性にとって働きやすい職場ではない場合、そういう状況下でもうまくやっていけそうな人かどうかは、やはり書類だけでは判断できません。
その人がどのような人であるか、という判断には見た目も大きく関わります。
書類選考時に得られる視覚情報は、筆跡のほかは、証明写真しかありません。
この写真では、多くの場合、採否にかかわるほどの差がつくことはありません。
しかし、たまにおかしな写真が紛れ込んでいることがあります。
証明写真ではなくてスナップ写真の一部を切り取っている場合や、背景がおかしいもの、歯を見せて笑っているなど本人が不自然な状態で写っているもの、などがそれに当たります。
こういう人は、就職活動の常識を無視し、自分なりのポリシーを優先していたり、「これくらいは大丈夫だろう」という自己判断で行動してしまっているので、何か問題を抱えている可能性があります。
学歴や経歴については、「学歴、経歴で判断できるか?」で詳細に説明しましたが、偏差値の高い大学の方が、偏差値の低い大学よりも使えるかもしれないと考えることはできます。
しかし、ここで考えてもらいたいことが一つあります。
それは、中小企業であるあなたの会社に、なぜ高学歴の人が応募してきたのかということです。
大企業は学歴でとる傾向があるので、良い大学を出ていれば、一流の企業に採用されるはずです。
そこに振り落とされているとするならば、何か問題があるから落されているはずです。
中小企業の採用担当者の役目は、ものすごくよい人材をとることではありません。
ものすごくよい人材は滅多に中小企業に流れてくることはありません。
流れてきたとしても、すぐに転職をしてしまう可能性があります。
あなたは、一流ではなく、二流の人材を採用し、入社後に一流になれるような原石を見つけなければならないのです。
経歴でも、大企業にいたからといって、使えると判断するのは拙速です。
むしろ、そんなに良い会社にいたのになぜ辞めたのか、ということの方を気にしなければなりません。
同業種に勤めていた場合も同じです。
まだ会社が存続しているにも関わらず、途中で職を変える人の殆どは、人間関係のこじれによって辞めていきます。
そういったことまでは書類上では判断がつかないので、それは面接によって聞き出さなければなりません。
趣味の欄に書かれている内容は、面接時に話のタネにするということはあるかもしれません。
趣味であればスラスラ言えるのは当然なので、相手の気持ちをほぐすために話を振る、という使い方ができます。
ここで気になることは、その趣味が仕事に関係しているものであるか、まったく関係のないものなのか、ということです。
仕事に関係していなければ、特に話を振る必要はありませんが、例えば、出版社に応募して、読書が趣味だと書いてあれば、どんな本を読むのか、どんな作家が好きか、といった話しまで膨らませることができます。
逆に出版社を受けているのに、趣味が読書でないのならば、なぜなのか、ということも聞いてみてもいいかもしれません。
趣味の欄に、仕事に関係するものがあれば、それはこの仕事が好きなのかもしれない、という想像ができるでしょう。
書類選考で重要な項目は、この志望動機です。
ここにしっかりとした自分なりの考えを書き、更にどこでも通用するような一般的な内容ではなく、あなたの会社に特化したものになっているか、というところを読み取りましょう。
読み取るといっても、僅か3~5行程度のものです。
ここにきちんと自分の考えをコンパクトにまとめて、わかりやすく書いていれば、それは自分の考えをうまく人に伝える能力を持っていると考えることができます。
どこで働きたいか、という希望を書く欄がある場合があります。
これは、勤務地であったり、配属される部署であったりします。
ここに希望を書くということは、その希望が通らなければ、働く意思はありませんと言っていることと同じです。
もし、この欄の内容を無視して採用し、希望とは違うところに配属したのであれば、それは辞める原因になります。
採用されたのであれば、当然自分の希望が通っているものだと考えているからです。
ですから、もしその人の希望する配属先が、あなたの会社が求めているものでなければ、それは採用を見送る理由になります。
さて、これまで述べてきたことは、エントリーシートや履歴書の記入項目についてのことでした。応募者の中には、これ以外に、これまで自分が携わった仕事の成果物を同封してくる人がいます。
これは、非常に参考になるものですが、ただ漠然と見ているだけではその内容を勘違いしてしまうことがあります。
まず、この成果物の中のどの部分を担当したのか、ということがわからなければ意味がありません。
「この成果物は私が担当したものです」という程度では、企画をしたのか、開発をしたのか、梱包をしたのかわからず、その内容によっては求める人材であると判断できることもあるし、そうではないこともあります。
もし、この人が面接まで行ったのであれば、確実に成果物のどこを担当したのか、ということを聞きだしましょう。
そして、正確に返事をもらった後は、本当にその能力が備わっているのか、試験を次回に行いましょう。
このようにして確認と検証を繰り返さなければ、採否の判断はできません。
これ以外にも、書類の内容は様々なものがあります。
その項目ごとに判断できる内容というものが存在します。
履歴書の内容は統一的な部分とそうでない部分があります。
多くの場合は統一されているので、どういう観点でみればよいのかわかってくれば、良し悪しを判断することができるようになるでしょう。
また、もし自作の書類を送ってきた場合には、項目が足りないこともあります。
こういうときはどうすればいいかというと、それは不採用にすればいいのです。
書類選考は、一番最初に通らなければならない関門で、最も倍率の高い部分なので、アピールを沢山しなければならない部分です。
そこでいい加減な書類を送ってくるようでは、採用する必要はないと判断してよいのです。