中小企業で採用試験を行うときには、筆記試験としてSPI試験を利用するところも少なくないでしょう。
SPI試験は実際のところ、採用に役立つのでしょうか。
SPI試験とは、マークシート式の基本的な知識を問う問題と、「あなたならどうする」形式に、状況による対応や考え方を示させる問題の2種類があります。
これらは能力と性格の2側面を見るためのもので、採用に足る適性があるか否かを判定します。
一般的に適性試験と呼ばれています。
前者の能力をみる問題とは、数学や国語、英語といった小中学生程度で習うような簡単で単純な問題が出題されます。
それぞれ問題吸うと解答時間が決められており、試験官はその時間で区切って、次の問題を解くように指示します。
出題される問題は、時間内ですべて解くのは難しい量が用意されています。
時間が来たら前の問題に戻って解いてはいけないことになっています。
後者は性格診断です。
「このようなとき、あなたはどう感じますか」というような質問が多く、例えば、「大勢で考えを出し合いながら答えを出すタイプだ」「一人で熟考して答えを出すタイプだ」というような選択肢を出して、どれが一番自分に近いものかを選ばせます。
こちらの問題は、時間をオーバーしても出題されたものすべてに答えなければなりません。
性格診断なので、どれが正解ということでもありません。
こうして解き終えた試験は、業者に提出すると採点してくれます。
採点の結果は診断書のような形で戻されます。
採用担当葉、この結果を見て、応募者の知識がどのくらいあるのかを把握し、どのような性格であるのかを知り、どの部署に配属するのが適しているのかを判断します。
これがSPI試験です。
SPI試験では、セオリーと言われていることがあります。
それは、「最高得点と最低得点を出した人は採ってはならない」というものです。
その理由は、最高得点と最低得点を出した人は、「人格的に問題がある人が多い」ということのようです。
もちろんSPIの得点が最高でも最低でもない人の中に、人格的に問題のある人がいないことにはなりません。
また、SPIの結果として、そういう傾向があると明記されているわけではありません。
ですから、これがそのまま当てはまらないケースもあります。
しかし、統計的に「その傾向が強い」とされており、幾らSPIで最高点をたたき出したからと言ってもそのまま優秀で使える社員になるとは限らない、ということのようです。
つまるところ、SPI試験は、どれだけ高得点を見る試験です。
しかし、このような基本的な問題を解くことが実際の仕事に生きてくることは少ないでしょう(一部の企業はそのまま直結することもあるでしょうが)。
また、SPIという試験は、多くの企業が採用しているため、対策問題集も出版されています。
つまり、事前にSPI対策をしてくることが可能になっています。
対策を練っていれば高得点をとることはたやすいでしょう。
このような状況で、何が判断できるというのでしょうか。
一つの考え方として、このような基本的な試験についての対策を、自ら行うという事前準備や行動力、やる気があるかどうかを見る指標になるということがいえます。
SPI試験の対策をしてこなかったということは、そこまでこの会社の採用試験にかけてこなかった、ということを表明しているととらえられる、ということです。
とはいえ、SPIは採点結果を業者がきちんと分析して傾向を示してくれるので、そのまま内容を参考にすることが多いと思われます。
SPI試験は、新卒の入社試験でよく使われる傾向にあります。
ですから、中途採用試験ではあまり一般的なものではないかもしれません。
しかし、中途採用試験でも、SPI試験を行う企業もあります。
この試験を通じて、本人のやる気度を測るとともに、ある程度の性格診断をすることができるというのは、企業側にはありがたい試験です。
大人数から絞り込むためには、こういった試験を活用することも必要になります。
SPI以外にもこういった類の試験は数種類あるので、必要に応じて活用しましょう。