社員募集の告知を見た人が最初に起こすアクションは、履歴書やエントリーシートを送ることです。
履歴書やエントリーシートは、インターネットを介して送ることを推奨している会社もあります。
もし書類の書き方ということも見たいというのであれば、直筆での郵送でなければ認めない、ということにしておきましょう。
このように表明しておくと、その裏にある意味を読み取れるかどうかを見ることもできます。
つまり、直筆の書類を送ってこいというからには、字面を見ていると読み取ることができます。
それなのに走り書きをするような人であれば、それは何を求められているのか裏読みすることができない人、という見方もできるのです。
ところで、履歴書を郵送するように指示する場合には、履歴書は返送しない旨も表示しておくと、返送のためのコストがかからず、文句も言われずに済みます。
もちろん、個人情報をそのまま保持しておくのはリスクが高いので、社員募集が終わったら不要な履歴書はシュレッダーで処分してしまいましょう。
ここからは、履歴書やエントリーシートの書き方や内容について、どういう点をみるべきか述べていきます。
履歴書では、会社側が記入項目を指定することもあります。
判断材料として必要な情報がほしいため、この項目は必須であると指定する場合や、企業側で決めたエントリーシートのような定型のものに書かせたりします。
まずは、書式を指定している場合には、その指定した項目すべてをきちんと埋めているのかは基本的な判断材料です。
こちらが指定する項目がなかったり、あっても未記入である場合には、きちんとこちらの指定を確認していなかったり、やっつけ仕事で書いたりしていると判断できます。
もちろん、履歴書に指定がない場合でも、未記入の項目があったら、それはマイナスポイントとしてチェックしましょう。
会社案内の請求をするときのはがきの文面と同じように、履歴書やエントリーシートの文字を丁寧に読みやすく書いているかということは重要です。
履歴書をコンピュータで作成して印刷したものを送ってくる人もいますが、そういう場合には、大量生産するために手間を省いたと考えることもできます。
また、文章の内容ではなく、言葉遣いの誤りや、文章の構成のおかしさがあるかどうかも判断材料になります。
学歴や職歴も一応みましょう。一応というのは、必ずしも偏差値の高い大学を出ている人が使える人とは限らないためです。
もちろん割合でいうと、高学歴であることは頭の回転が速く、仕事もできる傾向にあります。
しかし、だからといって学歴だけで採用するのは避けるべきです。
あなたの会社が大企業でも有名な会社でもない場合には、高学歴の人にはもっと他によい会社があるにもかかわらず、なぜこちらに応募してきたのでしょうか。
本当に使える人であれば既に他の会社が採用していてもおかしくありません。
また、すべり止め感覚で応募してきた可能性もあります。
そういう人はたとえ採用してもすぐに辞めてしまうかもしれません。
また、職歴についても前職で同じ職種に就いていたからといって、その分野に長けているとは言い切れません。
もし長けていたとしたら、なぜ辞めたのかということが気になります。
職歴ではこれまで同じ会社に何年勤務していたのかということも注目しましょう。
さらに、各会社を退職して次の会社に就職するまでの間にブランクがあるか否かも重要です。
ブランクがあった場合、なぜすぐに次の仕事に就かなかったのでしょうか。
また、1年足らずで辞めてしまっている場合には、その理由も知るべきでしょう。
何度も職を変える人は採用してもまた辞める確率が高いと考えられます。
それは理想が高すぎたり、周りとうまくやっていけなかったりと、性格に問題がある可能性があります。
中途採用するのであれば、1回しか職を変えていない人、それも最低でも5年以上は働いていた人が理想です。
このように学歴・職歴は一応の目安になるかもしれませんが、それを理由に「だから仕事ができるだろう」と妄信するのは危険です。
こうした「見た目」がいい人は、必ず裏を取るようにしましょう。
すなわち、面接で本当に頭の回転が速いのか、辞めた理由は何だったのかというようなことを聞きだし、なぜここまで他の企業に行かずに残っていたのか、納得できる返事をもらいましょう。
あなたが納得できない場合、嘘をついている可能性がありますので、採用は見送ってもいいでしょう。
履歴書・エントリーシートの中で最も重要な項目が志望動機です。
多くの新卒の応募者は、たくさんの会社を受けており、「この会社でどうしても働きたい」というものが見えてきません。
よくてせいぜい「その業種で働いてみたい」というレベルです。
また、「わたしを採用すれば、こんな特典がある」というような書き方をする人もいますが、会社はそこまで新卒に期待をしていません。
新卒に求めているものは将来性であり即戦力としての力は期待していないのです。
柔軟性や吸収力、そして従順さを求めているのです。
まずは下積みのような仕事をさせて、ビジネスマナーを覚えさせ、職場の雰囲気に溶け込み人間関係を構築することから始まります。
やがて仕事に慣れてきたころに徐々に仕事を任せるようにするのです。
中途採用の場合には、志望動機は格段に書きやすくなってきます。
前職で同じことをやっていればノウハウは知っているし即戦力になるよ、とアピールすることができます。
また、一通りコンピュータ操作ができたり、今までの成果物にはこんなものがある、といったスキルのアピールもできます。
こういうものを読み取り、中途採用の場合には新卒にはないスキルとして、何があるのかを判断材料とします。
あまり「自分がどれだけすごいのか」というアピールばかりしている履歴書の場合には、自分に自信を持ち過ぎており、逆にコントロールができなさそうだったり、嘘をついているのではないかと信用できなかったりして、怪しくなってきます。
そうではなく、謙虚でありながら言うべきことは言う、できることはアピールするという姿勢で書かれているかをみましょう。
また、どうしてもこの会社で働きたいんだ、というアピールがあるのか、あるならばその理由には納得いくものであるのかをチェックして、モチベーションの高さについても把握しましょう。
希望の職種を書く欄がある場合には、その内容にも注目しておかなければなりません。
この欄に「この職種に就きたい」と明示している場合には、それ以外の職種についてしまうとモチベーションは相当低くなると判断できます。
ですから、書いてある職種以外での採用は見送った方がいいでしょう。
例えば、技術職を希望しているのに営業職で採用したら、技術職で雇ってもらえる他の企業に鞍替えすることは大いにあり得ます。
また、「なんでもいいです」と書いてある人もよくいます。
しかし、この言葉には裏があります。
「なんでもいい」ということは、どんな職種であろうとできる、という意味の場合と、とにかく採用してもらえるのであれば何でもいい、という意味の場合があります。
前者であれば、オールマイティでどの職種であってもモチベーションが高いと考えられますが、そういう人は殆どいません。
通常人には向き・不向きがあるので、こういう書き方をする人は後者だと考えるべきです。
もしくは望んでいる職種が本当はあるけれども履歴書の時点で落とされたくない一心で、「なんでもいい」と書いてしまっている可能性もあります。
もし面接をするのであれば、そのときに実際にはどんな職種をしたいのか確認しましょう。
ここで本人の意思を確認しておかないと、採用後にすぐに会社を辞めてしまう原因ともなりかねません。
ここでは代表的な履歴書・エントリーシートの項目について取り上げましたが、このほかにも趣味の欄などがあるので、そういった欄についてもチェックポイントや質問項目を考えておけば、面接時に相手の本心をあぶりだすことができるかもしれません。
採用は企業にとっての最重要項目の一つですから、採用担当者の責任は重大です。
ほとんどの場合、おかしな人を採用したからといって採用担当者が咎められることはありませんが、もしあなたが採用担当であるならば、会社の命運を握っているという心持でしっかりと準備をして臨みましょう。