採用試験には、筆記試験や面接試験のほかに、その会社や配属先の部署で必要になる特殊な技能を見るための試験があります。
どういう人物が欲しいのか、きちんと考えず、何となく採用しているような会社では、この特殊技能試験をしないところも多いでしょう。
一般的な筆記試験と面接での受け答えの印象で決めるというのは、採用試験ではポピュラーなものですので、疑問に思わない人も多いでしょう。
しかし、本当に必要な人材を採りたい、即戦力が欲しい、というのであれば、どの程度の能力を現時点で持っているのかを測る試験をしておかないと、後悔することになるかもしれません。
特に、中途採用をするのであれば、特殊技能試験は必須と考えてください。
新卒や経験ゼロの人を採用するのであれば、意欲や柔軟性、吸収力などを見る試験を考えましょう。
また、チームで仕事をするのであれば、協調性を見る試験もあるといいでしょう。
最近では、仲間同士ではうまくやっても上司とは反発するという人も少なくありませんので、そういう人間関係にならないように、うまくやっていけるかどうかを見るためにも、チームワークを見る試験は大事かもしれません。
このように書くと、筆記試験でそこまで見ることができるのかと思うかもしれません。
やりようによっては可能かもしれませんが、試験をペーパーだけと考える必要はないのです。
集団面接だったり複数の面接官で見る面接だったり、複数の応募者同士で協力させて問題を解かせたりすることで、人との接し方をみることもできるのです。
試験という形式をとらず、例えば試験会場に行くまでの通路に、花瓶を倒しておいて、それを直すかどうかをチェックする、というようなものでも、構わないのです(それによって必要な人物を判断する材料となるならば)。
さて、このような試験を行うには事前準備は欠かせません。
試験の事前準備は以下の手順で行います。
まず求める人物像を決めましょう。
人材を必要としている部署に配属するための人物として、どのような性格が望ましいのか、どういう経験を積んでいるとよいのか、というようなことです。
求める人物像を明確にするためには、一緒に働きたいと思えるポイント、この人ならば能力があると言える、と思えるポイントを数点挙げてみましょう。
例えば、明るい、前向き、思慮深い、協調性がある、上司の指示をよく聞く、想像力がある、論理性が高い、センスがある、などです。
このようにポイントを決めておくことで、人物を見るときにどの部分を見ればよいのかがはっきりします。
求める人物像に備わっている能力(=ポイント)を決めたら、最後にその能力の有無を判断する試験をつくります。
例えば、礼儀が備わっているかを見るのであれば、立居振舞、言葉遣いを場面場面で使いこなせるかどうかをみます。
運転が必要な仕事であれば、運転免許を確認し実際に運転させてみるのもいいでしょう。
このように、特殊な技能が必要な試験であれば、実際にその技能を使いこなせるか否かを見る試験を用意しましょう。
以上の手順で試験をしたとしても、完全に見極めることはできないかもしれません。
僅か数十分で人の性格を見抜くのは土台無理な話しなのかもしれません。
しかし、咄嗟に出てしまう行動は嘘をつきません。
それをいかにして表面化させるか、というのが面接のポイントなのです。
また、こちらが気づかないようなうまい嘘をつけるのであれば、それも能力の一つです。
そういう意味でも、これらの試験を行うことは無駄なことではないのです。