ホーム間違いのない採用活動術年齢が高いと経験値が高いからいいのか、扱いにくいからよくないのか?
年齢が高い人を採用することは、メリットとデメリットがあります。
メリットは、経験豊富なことや、コミュニケーション能力が高いこと、それに、酸いも甘いも知っている、ということです。
デメリットは頭が固くて融通がきかないこと、そして体力が低いことです。
年齢が高い人を採用するときのメリットについて掘り下げてみます。
このメリットは、必ず年齢の高い人が持ち合わせているわけではありません。
むしろ、年齢が高いのに採用する理由としては、以下の条件を満たしている必要がある、ともいえます。
年齢が高いということは、その分キャリアを積んでいるので、経験が豊かであると考えられます。
その経験は、実技的なものだったり、リーダーシップのようなものであったりします。
いずれにしても、給料の安い年齢である20代の低年齢層に比べて、あえて給料の高い人を採用するのであれば、そこにはそれなりの理由があるのです。
実技の経験値を重視するのであれば、今までの成果物を見せてもらったり、どのようなスキルを身につけているのかを教えてもらい、本当にそのスキルが備わっているのかテストを行ったり、課題を出して提出させたりするとよいでしょう。
課題に関しては、不正をすることがないように、提出した課題についての質問を次の面接時に行うというようなやり方にすると、本当に自分でその課題を成し遂げたのかを確認することができます。
また、リーダーシップのような、資質が備わっているのかをみるには、今までの職務経歴で、どのような役割を担ってきたかをチェックしましょう。
管理職であったり、チームリーダーとしてプロジェクトをけん引してきたりしていたのであれば、その資質が備わっているかもしれないと考えられます。
もちろん、本人の口からきくだけではなく、前職の会社に電話をかけて確認したり、実際に集団面接を行って、リーダーシップを発揮するのかをみたりすれば、実際のところどうなのか、ということはすぐにわかることでしょう。
年齢が高くて、実技スキルが備わっていたとしても、コミュニケーション能力が低ければ、ビジネスマンとして、社員として、扱い辛い存在です。
職人や特殊な技術者を検討しているのであれば、コミュニケーションスキルが多少低くても、最低限の話ができれば問題はないのかもしれません。
しかし、普通の会社員として、顧客や取引先との折衝を繰り返しながら、一つの仕事を仕上げていくというような場合には、実技スキル+コミュニケーション能力の2つは必須になります。
コミュニケーション能力の高さを測るには、実際に会話をしてみることです。
そのときに、目を見て話せなかったり、ボソボソと話したり、すぐに黙ってしまったり、二の句を告げるのに時間がかかったりするような人は、コミュニケーションスキルは低いと思われます。
普段は話せあるけれど、極度の緊張で話せなくなるのであれば、やはりコミュニケーションスキルは低いのです。
これは、集団面接などで見ることもできます。
中途採用をするときに、実は会社側が相手に持っていてほしいスキルの一つに、「理不尽なことも飲み込むスキル」があります。
実際に面と向かってこのスキルが必要だ、などと言う人はまずいません。
しかし、理不尽だからといって文句を言わず、上を立てる人というのは、歓待されますし、そうでない人は嫌がられます。
会社というのは、常に筋の通ったことを言うわけではありません。
大企業であれば、コンプライアンスや就業規則をきちんと決めて、社外の目なども手伝って、常識的な行動をとらなければならないことが、守られる傾向にありますが、そういった外部の目の届かない中小企業は、ワンマン社長や、特定の役員が権力を握っていて、その人たちを中心に動いていることが少なくありません。
そういう会社で働くのであれば、すべてが白黒つけられるわけではありません。
また、正しいから白、間違っているから黒、ということにもなりません。
気に入られれば白、気に食わなければ黒という世界なのです。
そして、ときには気に入られていても黒、ということもあるのです。
中途採用をするとき、このような苦い経験をしてきており、「会社というのはそういうこともあるものなのだ」と理解している人だと、採用した後に「こんなはずではなかった」となることはありません。
「この会社ではそれがルールなんだな」と暗黙の了解をして、それなりの行動をとるようになります。
年を取るほど頭が固くなると言いますが、このようなある意味では柔軟性といえるような態度は、年を取っているからこそ、備わっているとも言えるのです。
面接時には、会社が理不尽なことを行ったとしても、それに対して正論で否定するのではなく、臨機応変に対応できる人であるかどうかを見極める必要があります。
次に、年齢が高い人を採用するためのデメリットを掘り下げます。
年齢が高くなることの最大のデメリットは、給料が高くなることです。
ほとんどの会社は、年齢給を導入しています。
ですから、社歴の長い人よりも、途中から入社した人の方が年齢が高ければ、その人の方が給与も高くなります。
会社が年齢の高い人を採らない理由の多くは、このことにつきます。
「わざわざ基本給の高い人を採ることはないだろう」ということです。
中途採用でも、40歳の人を採るよりも30歳の人の方がいいではないか、ということです。
実際、年齢による能力差は、30代の人が40代になったところで、同じ人であればあまり変化はありません。
給料が高くなるとわかっているのに、採用するのであれば、それなりの能力や理由がなければなりません。
年齢が高い人のもう一つの欠点は、頭が固くなっていることです。
若い人の利点は、能力は低くてもなんでも吸収して成長するポテンシャルを秘めていることです。
しかし、年齢が高くなると、それまでにやり遂げてきた仕事によって、自分なりに知識と経験を積んでいるために、「そんなことは知っている」というような態度をとり、周りが教え辛い雰囲気をつくってしまったり、教えても全くその通りにやらない、ということが起こりえます。
また、それまでの経験で仕事をしようとするので、新しいことはできません。
ずっと営業畑で働いてきた人に、プログラミングを覚えろといっても土台無理な話しです。
また、頭が柔らかいつもりでいる人も、やはりどこかしら固いもので、余計なプライドが邪魔をして柔軟さを損ない、頭が固くなっている人もいます。
この頭の固さを理解した上で採用するのであれば、今までの経験が生かせる職場でなければなりません。
年齢が高いということは体力が低いということでもあります。
もちろん個人差はありますが、割合でいえば、若い人の方が体力はあるものです。
特に残業が多かったり、力仕事が多かったりする仕事の場合には、体力がものをいいます。
そういう職場で採用を検討しているのであれば、そういった過酷な環境に慣れている人で、かつそれを苦にしていない人でなければなりません。
前職が過酷だったために転職をした、というような人では、今回も勤まらないかもしれません。
会社側が、35歳以上の比較的年齢の高い人を選ぶときには、それなりの理由があります。
その一つが経験が豊富であり、その経験をもってして管理職として引っ張って行ってほしいと考えているときです。
こういうときは、既に能力が備わっており、ここから本人が成長する必要はありません。
むしろ若い人を育てられるような人材が求められます。
このように、年齢の高い人を雇うには、メリットとデメリットがあることを理解した上で、デメリットを補って余りある理由があったり、デメリットとして挙げたものにあまり影響されない職場であったりする、ということが必要です。
採用で迷っているのであれば、この考えをもって検討をしましょう。