クレーム処理は、何も指針がなければ、受けた人の力量によって、相手の言い分を通したり通さなかったりすることになります。
つまり個人の能力が、そのクレームを解決したり、さらなる問題に発展させたりしてしまうということです。
しかし、同じクレームでも人によって結果が違ってしまうのではなく、常に同じ結果を出したいところです。
そのためには、クレームを分析し、クレームの事案別にどのように対処するのかをまとめ、全社的に統一基準を定めて全員に知らしめておく必要があります。
統一基準を考えるにあたり、クレームを受けた人は、必ずクレーム内容と対応内容を記録して、データを蓄積していくようにしましょう。
記録することにより、おざなりな対応をする社員をなくし、責任感を持たせることもできます。
月に一度、または半年に一度、年に一度など、決まった時期に、これまで蓄積したクレームを分析して、同じクレームがないか、また、どこに起因したクレームなのかを調べましょう。
クレームの原因には以下の3つがあります。
これはある種、マーケティングといってもいいかもしれません。
その商品の不具合についてのクレームは、そのまま改善点へとつながります。
この種のクレームは、いちゃもんをつけているわけではありません。
ですから、嫌々聞き流そうなどと考えてはいけません。
そのクレームの原因を解消すれば、更に売れる商品・サービスになる可能性があります。
また、商品の梱包や破損についてのクレームであれば、代替品と交換するなど、誠実な対応を心がけましょう。
この問題においても、梱包材がそもそも弱かったり合っていないことも考えられます。
社員の受け答えが気に入らない、酷い態度をとられた、という類のクレームです。
このクレームは、クレームの中でも恥ずべきクレームといってもいいでしょう。
そもそも商品に問題があることに気付かず、それを指摘されるのであればまだしも、社内の教育がなっていないことが露呈してしまったということですから、会社の姿勢自体を疑われてしまいます。
このようなことがないように、日ごろから電話対応についても、しっかりと教育しておきましょう。
大抵の企業は、電話対応などは個人の力量に任せてしまいます。
しかし、そんなことでは、たまたまできる人であればいいけど、そうでなければ大損害を被るというような、運を天に任せるようなことはするべきではありません。
これもよくあります。
おかしな使い方をしているのに、こちらが悪いように言って来たり、こうしてはいけません、と注意書きがあるのに読んでいない、などもあります。
もちろん、まったくの言いがかりのこともあります。
このようなクレームは、じっくりと話し込んでみないと、どちらに非があるのかわかりにくいことがあります。
相手は逆上しているので、うまく説明することもできない状態です。
ですから、最初に聞いたクレームの内容だけで、「それはあなたの責任です」と決めつけないようにしましょう。
よくよく話を聞いてみたら、会社側に問題があった、ということになれば、更にまずい状況に追い込まれてしまいます。
こちらに問題があれば、迅速に対応する旨を伝え、反対に相手に非がある場合には、優しく、しかし、要求には応えられないと毅然と断らなければなりません。
統一基準を決めるときは、どの問題は誰が担当となるかを決めておくというよりも、誰でも対応できるようにしておくといいでしょう。
個人に担当を割り振ってしまうと、その人だけに負担がかぶさり、他の人は関係なくなってしまうので、いい加減な対応をする可能性があります。
また、担当者がいない時には話が進まず、相手を余計にイラつかせることにもなりかねません。
相手にしてみれば、担当者が誰だろうが関係ありません。
その会社に文句を言っているので、社内事情など知ったことではないのです。
担当を置くとしたら、ものすごく重要なことに関わるクレームについてです。
これはスポット的に配置します。
この場合は、平社員を担当に据えるのではなく、管理職クラスを設定しておきましょう。
担当となった人がきちんと対応できるように、対応方法も併せて考えておく必要があります。
統一基準を定めたら、これを全社的に配布します。
そして、クレームを受けた場合には、多くの場合は受けた人が対応することを求めます。
もちろん、クレームの基本である「怒らない」というようなことも徹底します。
今まで、個人の力量に任せていた電話対応を、きちんと研修や訓練をして、ある一定の水準にまで引き上げましょう。
全体の底上げをすることは、社員のスキルを上げることにもつながり、接客力の向上になります。