ホーム無難にこなす苦情対応術怒りが収まるまで、あなたにできることは何もない
クレーム電話がかかってきました。あなたがするべきことは何でしょうか。
相手の圧力に負けないように対抗して強く出ることでしょうか。
それとも、なだめることでしょうか。
いずれも違います。
クレーム電話がかかってきて、相手がすごい剣幕で話だしたならば、あなたにできることは何もありません。
唯一、あなたに許されている選択肢は、「ただ耐え忍ぶこと」だけです。
さて、相手はどうしてクレーム電話をかけてきたのでしょうか。
それは、あなたの会社のサービスを利用して、嫌な思いをしたためです。
何か一言でも怒りをぶつけて、憂さを晴らしたい、損をしたのであれば、取り返したい…そういう気持ちから電話をしてきています。
さらに、相手は逆上しています。
あなたは逆上した相手を何とかして落ち着かせなければなりません。
クレーム電話で最悪の事態は、相手が逆上したままで終わることです。
逆上したままで電話を切るということは、相手の怒りは収まっていません。
あなたの会社への印象は最悪のままです。
つまり、二度とあなたの会社のサービスを利用しなくなるのはもちろん、今の時代、簡単にネガティブキャンペーンをやられてしまう可能性もあるということです。
この多大なるリスクを回避しなければなりません。
そのためには、相手の怒りを受け止めて、その怒りをすべて吐き出させ、収束の方向に向かわせなければなりません。
あなたは、口答え・反論は一切してはなりません。
まずは相手の言い分を良く聞きましょう。
そして、その怒りが正当であろうとなかろうと、まずは謝罪の意を表明します。
それから、相手の言い分をさらによく聞き、相手の話を「つまり○○ということですか」と自分がわかる形に変換して、理解を深めましょう。
大事なことは、相手の言ったことをすべて受け止めることです。
例えるならば、スポンジのように、すべてを吸収しましょう。
しかし、そのまま自分の中にため込むようなことはしないでください。
あなたの中にためこんでしまうと、それはストレスとなってあなた自身に跳ね返ってきます。
スポンジはよく吸収しますが、同時にすぐに絞り出すこともできます。
まずは相手に反論せず、一見聞いているように思わせておいて、実はさほど気にしていない、というスタンスで対処しましょう。
相手の話が正当であるのか不当であるのかを判断するのは結構難しいことです。
なぜなら、相手は逆上していて、途中を端折ったりして、伝えたいことをうまく伝えられない場合があるからです。
ですから、すぐに「正当だ、不当だ」と決めつけずに、まずは相手の言い分を良く聞き、次に事実関係を把握するために質問をして、理解を深めましょう。
そうして何が起こったのか、何で怒っているのかをはっきりさせましょう。
では、結果的に不当なクレームだとわかったら、どう対処すればいいでしょうか。
どんなに不当だったからといって、突っぱねたり、脅したりというようなことをしてはいけません。
勘違いして怒りをぶつけてくるような人ですから、「あなたの言い分は間違っている」と突っぱねたとして、納得してくれるでしょうか。
むしろ怒りを増幅して、勘違いしたまま悪評をばらまくかもしれません。
ですから、クレームをつける相手が違うのであれば、正しいクレーム先に誘導してあげる必要があるし、クレーム自体が不当であるならば、不当なクレームをつけているのだと自分で理解できるようにもっていかなければなりません。
そして、この作業を行うには、先に相手に聞く耳を持ってもらう必要があります。
クレーム処理の基本は、相手の言い分を聞き、理解し、そして相手の気持ちを鎮めることです。
相手が冷静さを取り戻さない限り、何を言ってもおさまりません。
ですから、随所で相手の気分をよくさせるような「言葉」を挟み込みましょう。
まず謝罪です。
これは、こちらに落ち度がない場合でも、とりあえずは「怒っているようなので謝ってみた」という感覚でいいでしょう。
後で、こちらに落ち度がないと説明しても「さっき謝ったじゃないか」と文句を言われたら、「お客様がご立腹されていたので、まずは謝罪させていただいた」という風に返しましょう。
次に肯定です。
相手が何か言ったときに、反論や間違いを指摘するのではなく、「なるほど」「ごもっともです」「おっしゃるとおりです」「勉強になります」といったキーワードを使って、相手の言うことを肯定します。
最後に感謝です。
わざわざクレームを伝えていただいたことに対する感謝の意を表します。
「貴重なお時間を割いていただきまして、ありがとうございます」「教えていただいて、ありがとうございます」…このように言うことで、相手の怒りもぐっと鎮まります。
このようにして、相手を冷静にしてから、ようやくあなたがクレームに対して、どのような処理をするのか、相手に説明する番が回ってくるのです。