会社に何年か在籍していると、やがて後輩が入社してきます。
多くの中小企業では、先輩社員が後輩社員の面倒を見るということを、システマチックに行ってはいません。
つまり、社員教育は面倒くさいし嫌われたくないので、管理職に任せておいて、後は放っておけば、特に文句も言われないから楽だ、ということです。
しかし、そのような振る舞いでは、先輩としての威厳もなくなるし、たまに後輩に仕事をさせようとしたりアドバイスをしたりしても、言うことを聞いてくれなくなります。
また、自分が将来的に管理職に昇進したときに、周りはあなたの言うことに耳を貸さないかもしれません。
ですから、後輩の面倒を見て「この人に言われたら逆らえないな」という状況を作っておくことは、仕事を円滑に進める上では役に立つことでもあるのです。
管理職になるつもりがないから関係ないと思う人もいるかもしれません。
もし、管理職にならずに平社員のままでいいと思っているのであれば、それは経営陣には使い捨て社員と思われてもいい、と言っていることを意味します。
そうなると部署を転々と異動することになるかもしれません。
いずれにしても、後輩をコントロールできる立場になっておくことは、後々自分の立場を有利にして、仕事をしやすくすることは間違いありません。
ですから、後輩を教育できる社員を目指しましょう。
その手始めとして、とにかく権力を握ることです。
あなたのいうことに耳を傾けさせるには、「この人に逆らってはまずいな」と思わせるのが手っ取り早い方法です。
それには、それなりの権限を持つことです。
もちろん管理職ではないので、決定権を委譲してもらえることはないでしょう。
しかし、ほぼ決定権と言えるレベルの権限ならば手に入れることはできます。
例えば、「あなたを通さなければ、その仕事がうまく運ばないので、まずあなたに判断してもらうようにすることになっている」とか、「より職階の上の人とのコネクションがあるので、この人に頼めば、ある程度上の人に話を通してもらえる」といったことです。
そして、そういう権限があることをアピールしておきましょう。
何か困ったことが発生したら、「わたしに任せてください」と、その面倒事を見てあげましょう。
もちろん自分でできそうなことであれば、最初に手本を見せて、後は自分でやらせるようにしましょう。
常にやってあげてしまうと、この人に頼めばやってくれる、と逆になめられてしまい、あなたの仕事が増えるばかりで楽にはなりません。
同じことを頼んできたのであれば、この間教えたから自分でやりなさい、と突っぱねましょう。
このように権力を握るためには、あなたが仕事のエキスパートにならなくてはなりません。
実力のない者にも権力が与えられることはありますが、実力の伴わない権力は、何かのきっかけで剥奪されてしまいます。
まず、仕事を通して「この人は、この仕事に関してはエキスパートだな」と思われるほどの仕事をしましょう。
周りから認められれば、おのずとその評判は上の方にも伝わります。
また、自分からも上に働きかけるようにしておき、ある程度の権限を委譲してもらえるように振る舞いましょう。
つまり、この人は信頼できるから、ここまで任せても問題ないだろうと思われるようにするということです。
このように振る舞うことは、管理職への道筋をつけることでもあります。
中小企業では、管理職の人材不足が問題化していることがあります。
管理職になりたがらない人が増えており、人材が乏しくなっているためです。
もしもあなたが、管理職になりたくないと思っているのであれば、上司に権限委譲されるように振る舞いたくないかもしれません。
しかし、後輩になめられないようにするためには、ある程度の権限や権力はおのずと握っていることになります。
自分自身では気づかない場合でも、何もせずに後輩からもなめられている他の社員からしたら目立った存在になるでしょう。
人をコントロールできるようになるということは、そうしない人からすると一際目立った存在になります。
そうなると、結果的に管理職に向いていると判断されることになるでしょう。
このように、権力を握るということは、管理職になる可能性が高くなるということでもあります。
あなたが自分に迷惑をかけられないように仕事を進めていきたいと思うのであれば、管理職になることをリスクと捉えるか、自分の仕事がうまく回らなくなることをリスクと捉えるか、天秤にかけて考えてみましょう。