採用試験に限らず、試験を受けていれば受かるときも落ちるときもあります。
すばらしい実績を持った人や学力優秀な人であったとしても、その人よりさらに相応しい人がいれば、企業はそちらを採用します。
受験者が多ければ、必然的に採用可能人数まで絞らなければなりません。
そういう意味では、採用試験に合格するにはある種の運も必要です。
書類選考や筆記試験をパスしても、採用を見送られる人も当然いるのです。
しかし、受験者にとってみれば、人生のかかった勝負です。
落されてしまった人にも事情があるので、不合格という事実を知った時に様々な反応をします。
通常であれば、残念だと落ち込むけれど、次の職探しへと気持ちを切り替えます。
しかし、たまにそうではない人がいるのです。
不採用通知をもらった人は、たいていの場合はそのまま引き下がります。
仕方がない、自分のアピールは認められなかったのだ、と。
しかし、その中でも変わった行動をとる人がいました。
それが以下の2ケースです。
不採用にされた人の奥さんから、「うちの人がなぜ落されたのでしょうか、40歳を超えていて、仕事が見つからなければ困るので、次に生かすため落された理由を教えてもらいたい」という電話がかかってきたことがありました。
確かに、なぜ落されたのかの理由がわかれば、それを改善することにより、次にいかすことができるかもしれません。
しかし、通常、企業で採用・不採用を決めているのは、最低でも部長クラスです。
中小企業ともなれば、多くは役員クラスの人が決定権を持っています。
中小企業では、人数が資金も少なく一人の人を採用することが大きな決定になります。
時には無駄なコストとなってしまう場合もあるので、そんな重要な決定を経営者でもない人に任せることはあまりしません。
不採用になった理由を聞くということは、その上層部の役員に理由を聞くということになります。
しかし、役員には面接のときに落した人の後処理までやっている余裕はありません。
ですから、不採用通知が来た後に、電話で不採用になった理由を聞いたとしても、役員に聞きに行くわけにもいかないので、答えることは殆どできないのです。
こういうとき採用担当者は、「他にもっと良い人がいた、というのが理由です」という歯切れの悪い回答しかできません。
しかし、たとえ歯切れが悪いとはいえ、それは事実でもあります。
ある人から、「試験が終わったのに、一向に結果の通知が来ない」と電話をかけてきたことがありました。
採用結果は既に送付済みだったので、よく調べてみると、不採用の結果が出ていました。
その旨を伝えると、とたんに態度が豹変し、「なんで連絡がないんだ、個人情報なのだから、履歴書は返送しろ」と怒鳴りつけてきました。
しかし、合格者にはもちろん、不合格者であっても必ず連絡を入れていましたし、不採用者の履歴書は必ず返送していたので、もう一度調べてみると、やはり履歴書に書かれていた住所に返送していたことがわかりました。
その住所は、普段その人がいない場所であることが判明し、そのためにまだ受け取っていなかったようでした。
そのことがわかると、その人は自分の勘違いを謝罪することもなく、もごもごと話して電話を切ってしまいました。
このような振る舞いをする人を見ると、結果論ではありますが、やはり自分の誤りを認めて謝罪をすることができない人は、不採用になってしかるべきだったのだと思ってしまいます。
以上のように、不採用になったからといって、先方に迷惑をかけるような行為をするのではなく、採用・不採用は時の運と考えて、受からなかった時は運が悪かったと思って気持ちを切り替えて次にいくしかないでしょう。
不採用になったからといって激怒するというような迷惑行為をするような人は、同じ業界で何かの折に、そういう人であるという噂が広まる可能性もないとはいいきれません。
採用時には採用担当の記憶に残るような行動をとることは大切なことですが、不採用時に記憶に残るようなマナー違反の行動をとることは、しないように極力気をつけましょう。