筆記試験中に、やってはいけないことを予め伝えておいたにも拘らず、「ばれなければいい」とばかりに、こっそりとやってしまう人がいます。
この行為はルール違反になります。
カンニングと同レベルの行為です。
筆記試験における禁止事項は、私語を慎むといった一般的なものもありますが、それは常識としてわざわざ禁止事項として提示されません。
そのレベルのことは常識的に知っていてもらわなければ困る、ということです。
禁止事項として示されるものは、例えばSPIなどの適性検査におけるものがあります。
SPIなどの適性検査は、制限時間内でどれだけ問題を解けるかによって、その人の能力を測ろうとしています。
例えば、一つの大項目の中に、50問の問題があるような形式で、大項目が3つあったとして、一つ大項目について20分与えて、20分内で50問を解かせます。
もし50問すべて終わっても、次の大項目の問題に移ることは禁止されています。
20分経ったらはじめて、次の大項目に移り、次の50問を解くことができるようになります。
もちろん、時間が余ったからといって前の大項目に戻って解けなかった問題を解くことも許されません。
そうされると、正確に能力を測ることができなくなるからです。
もちろん受験側としては、自分の能力を少しでも高く見せたいので、時間があれば前の大項目に戻って、残った問題を解きたいでしょう。
しかし、ルール違反をしていることが判明してしまったら、「ルールを守れない人」として不採用になる可能性があります。
SPIのような適性検査の場合、予め禁止事項を伝えることになっています。
ですから、受験者はその話をよく聞いておき、ルールを守らなければなりません。
ここからは、実際にあった話です。
わたしは試験管を担当していました。
その試験はSPIで、事前に制限時間と禁止事項を伝えることになっていましたので、「次の問題は30分以内で解いてください。時間以内に終わっても前の問題に戻って解かないようにしてください」と、マニュアル通りに、試験の回答方法や注意事項、禁止事項を伝えていました。
しかし、その人は、自分がみられていないと思ったのでしょうか。
大項目の問題を解き終って、次の大項目に進んだならば、前の大項目には戻ってはいけないという決まりを破り、前の問題に戻って解き始めたのです。
名指ししてその場で退場を命じるような権限は与えられていなかったために、その場では、その人に対してというよりは、全体に対して語るように、「前の問題に戻って解かないでください」ともう一度伝えました。
30名程度の少人数だったので、それを聞いて、その人も気づいたようでした。
このようにふるまう人は、ルールを守れない人、注意されても自分が正しいと反発し、自分の考えを改めない人だと思われます。
ルールを破る行為をして、直接注意をされなかったから大丈夫だと思っていると、試験官はそれをみていて、そのまま泳がせておいてどこまでやるのか様子を見ている人もいます。
そして、試験官の側でチェックされ、ばれていないから大丈夫と思っていたら、落とされてしまう、ということもあります。
採用試験において、普通にやれば成績はよかったのに、態度が悪いために落とされるということは、本当にもったいないことです。
このような、ちょっとしたことでチャンスを逃すことがないように、ルールはしっかりと聞いて守るようにしましょう。
使えるものはコネでも使う、というように、入社するためになりふり構わないことは否定するどころか推奨していますが、不正を働くのはリスクが高すぎるのです。
リスクは取らず、知恵を絞って戦略をたて、対策を怠らないようにしていれば、必ず就職を勝ち取ることはできます。