「ソリューション」と横文字で書くと格好いいですが、つまりは解決策を一緒に考えることで、相手を知らないうちに巻き込んでしまう、という方法です。
人は、何かを「やってください」と丸投げされることは非常に嫌がりますが、「一緒に考えましょう」という姿勢をみせられると、「協力してやろうか」という気になるものです。
例えば営業マンが訪問先で、「何か困っていることはありますか」と尋ねたとします。
これに対して、「~がどうにかならないかと悩んでいる」とあなたが答えたとします。
すると、それに対して「解決法を一緒に考える」というスタンスで、営業マンは様々な商材を提示することができるようになります。
この場合、実際には営業マンは自社のサービスを売りたいと考えているので、自社のサービスでカバーできる範囲でしか答えることはしません。
しかし、それを表だっていうわけではなく、解決法はあくまで「この範囲」でしかない、というようにみせることで、相手はその中から解決策を探そうとします。
また、「解決法を一緒に考えよう」というスタンスだと、あなたは相手にとって「面倒ごとを持ち込んできた相手」ではなく、「一緒に協力して問題を解決するパートナー」に昇格することができます。
ソリューションに対抗するには、「ほかにも解決法があるのかもしれない」と疑うことです。
相手の提示する解決法だけを鵜呑みにしてしまうと、本当はもっとよい解決法があるにも関わらず、手間のかかる方法を選んでしまうかもしれません。
そのため、まず相手の解決法を聞いたら、それをもって一旦引き取り、自分なりにインターネットで調べたり別の業者にあたってみたりして、提示された解決法のメリット・デメリットや、よりよい解決法があるのか、自分で理解しておきましょう。
一番の問題は、自分がわからないけれど、業者が「これがいい」というので、信用して任せてしまう、ということです。
実のところ、どんな商材でも紹介できる、というような商社的な業者は数多くいます。
彼らは、よさそうな商材を、あらゆるところから引っ張ってくることができます。
ですから本来ならば最もよい商材を提供してくれることが期待できます。
しかし、そうはなりません。
解決策というのは自社に利益をもたらす範囲で行われます。
すなわち、会社が提携している業者の商材のみ紹介するとか、会社が売ってきてほしいと特に押している商材のみ紹介する、ということが起こります。
また、その営業マンに全方位の知識が備わっていなければ、知らないがために最適の解決法を提示してもらえない、ということもありえます。
また、商材を導入した後の設定やメンテナンスで知識が足りずにトラブルを起こすこともあります。
よくよくその業者に知識があるかも事前に知っておかなければ、問題が起こるかもしれません(とはいえ、その業者に知識があるかないかを事前に調べるのは難しいことだと思います)。
あなたと相手は取引関係があるわけではなく、同じ会社の別の部署の人、というような場合にも、このソリューションを使ってくる人がいます。
相手はあなたと一緒に解決しようという姿勢をみせながら、あなたがやる気を見せたとたんに、あなたに丸投げして自分の席に戻っていってしまいます。
つまり、決して本心から一緒に解決したいなどとは思っていません。
ですから、あなたがイニシアチブをとるのではなく、常に相手がイニシアチブを持っていることを、相手に意識させるように受け答え、行動しましょう。
こうすることで、相手はあなたに丸投げして逃げることができなくなり、最後まで責任が自分にあるということを自覚します。
もしかすると、あなたに丸投げできないと分かった時点でターゲットを変えるかもしれません。
それで構わないのです。
あなたの仕事を邪魔するようなことに、わざわざ巻き込まれてあげる必要はありません。
本当に必要だと思ったり、一緒にやってあげたいと思ったりする人にだけ、あなたの時間を割いてあげましょう。