会社では、本来ならば、筋の通っていない仕事の仕方は認められないものです。
たとえば、営業部の部長が、開発部の課員に「この商品をつくってくれ」と命令することは、仕事の流れとして間違っています。
通常は、営業部の部長がある商品をつくってほしいと考えたのであれば、開発部の部長に話を持っていかなければなりません。
または、営業本部としてその商品が本当に売れるか、必要かを検討し、営業本部から開発部に要請が来る、という過程になる場合もあるでしょう。
ある部署の管理職から、別の部署の課員に命令が下るというのは、その課員の直接の上司を無視する行為です。
命令を受けた課員は、相手が管理職であるから断ることも難しく、仕方なく引き受けてしまうと、本来の仕事が滞ってしまい、上司に相談しても「俺は何も聞いていない」「なぜ俺に話を通さないんだ」と、逆にあなたが責められてしまうこともあり得ます。
このように筋を通さずに突っ走ることは、会社としてのチームワークを乱す行為なので、やってはならないこととされています。
しかし、中小企業では、職階制や業務分掌というのは、あってないようなものです。
職階も部署も関係なく、大声を上げる人、つまり、押しの強い人が自分の思い通りに話を進めてしまう、ということがまかり通ってしまいます。
「大声を上げる人」とは、要するに強引な人のことです。
中小企業では、強引な人が押し勝つ場面がよくあります。
そこでは理屈や政党制などはあまり意味を持ちません。
何か反論をしたとしても、構わず強引に押し付けることができれば、それで決定してしまうのです。
以下に典型的な「大声をあげる人」を列挙します。
典型的な強引なタイプです。
もちろん、自分が仕事ができるんだ、優れているんだとあからさまに職場で言っていたら、ただの嫌われ者になってしまうことくらい、本人もわかっています。
だから、普段はそのようなことは口にしませんが、会議であったり、飲み会であったり、他の部署の人と話す時であったりしたときに、いかに自分が仕事ができるのかについて、話し出すことがあります。
仕事ができるというのを、自分がいかに仕事を頑張っているのかをアピールすることで示そうとします。
また、それなりの結果も出しているので、周りが文句を言うに言えない傾向にあります。
前のコンテンツで、「謙虚じゃない人は嫌われる」という記事を書きましたが、このタイプも謙虚ではありません。
自分は人よりも良く働いている、という自負があるので、よく他の人をけなします。
反論してくる人がいればやり込めようとします。
また、ちょっとでも自分がバカにされていると感じたら、激しく抵抗してきます。
このタイプの人は、自分が非常に優れていると思っているため、上昇志向が高い人が多いです。
今のポジションは自分には相応しくないと思っており、権力を欲しています。
よくいる話の長い人です。
話の長い人は、人の話を聞くのが苦手です。
また、相手の話を聞いても、それに同意することは少なく、「でも」から続けて反論をし、自分の間が絵こそが正しい、という流れに持っていこうとします。
話の長い人は、自分の間が絵こそが正しいと思っているので、勝手に自分の考えを押し付けて去っていきます。
押し付けられた人は、長話の要点を理解する前に、嵐が去っているので、いつのまにか仕事をやらなければいけない羽目に陥っています。
中小企業における管理職は、部署によってはときに絶大な権力を持っています。
とはいえ、すべての管理職が強引であるわけではなく、強引なタイプと弱気なタイプにわかれます。
中小企業では、常に人材不足であるため、管理職にとりあげようにもコマがありません。
少ないコマの中から管理職に引き上げようとするのですから、当然人選に無理が出てきます。
大抵の場合、年功序列、経験年数の多さなどで決まります。
このとき、「自分が最も優れていると公言している人」や「延々と話す人」が管理職になると、強引な管理職になってしまい、厄介なことになるのです。
また、権力を持った途端に、強引になってしまう人もいます。
管理職というのは、平社員よりも立場が上のため、そもそも平社員に強引に物事を押し付けやすい立場にあります。
それが、自分の部署内であれば仕事を割り振っているということもあるので、そこまで問題があるとは言えませんが、他の部署の平社員に、直接仕事を押し付けることがあるので、問題となるのです。
また、昼休みであったとしても、仕事をやらせようという傾向もあります。
わたしたちは、権力には逆らえません。
権力に逆らえば、悪い噂が上層部内で広がり、その結果自分の立場を危うくすることになりかねないからです。
では、このような大声を上げる人への対策を考えましょう。
「いきなりなんだ」と思うかもしれませんが、強引に押し付けられたとしても、気にしないで(または最初から諦めていて)、引き受ける人がいます。
これは対策とは言えませんが、そもそも別に気にならない、ということであれば問題ではないのです。
これは方法というよりも、そういう性格ということですので、そこまでストレスに感じない精神力を持っている人でなければできません。
強引な人に対抗するには、強引に断ることも有効です。
そもそもやり方が強引なんだから、強く断るというのもやっていい、ということになるのです。
「それは自分の仕事ではないので、こっちに言わないでもらいたい」といって、引き受けないということです。
この方法は相手が同じレベルの立場にいあることが望ましいです。
取締役などの圧倒的に上の立場の人から言われた場合には、強引さを前面に出すのは危険が伴います。
強引な人に見られる傾向として、断られて引き下がった場合、上司に言いつけて、再度言わせることはあまりしません。
「自分でやっているのだ」というプライドがあるので、他の人に頼まないのです。
本当は自分のやっていることが正しくないと理解しているのかもしれません。
あなたが強引に断ったり、怒ったりできるタイプではない場合、最善の方法は上司に断わってもらうことです。
上司は勝手に自分の部下に、他の部署の人が仕事を持ってくることを快く思いません。
押し付けてくる人がいたら、「上司と相談します」と言って、一旦引き下がりましょう。
その後、上司に「断ってください」と頼みましょう。
あなたと上司の人間関係が良好であれば、断ってもらうことは可能です。
気を付けなければならないのは、あなたの上司が事なかれ主義である場合です。
普段から部下のやることに指示をせず、部下のやりたいままにさせている人は、われ関せずなところがあるので、このような場合でも、とりあわなかったり、引き受けてしまったりすることがあります。
強引に断ることも、上司に断わってもらうこともできない状況の場合には、やんわりと断ることです。
この方法は角が立つことが少ないのですが、強引な人にどこまで太刀打ちできるかは、あなたの技量がモノを言います。
具体的には以下のように断わります。
まず、何をおいても、その仕事は自分の仕事ではないことを伝えましょう。
もちろんやんわりとです。
ここでなぜ自分の仕事ではないのかをダラダラと説明すると、相手は苛立って、こちらの説明が終わる前に強引に押し付けて帰っていくかもしれません。
次に、自分は忙しくて時間を取れない、ということをやんわりと伝えます。
自分の仕事であれば、忙しということを理由に拒否することは許されませんが、そもそも自分の仕事ではないので、忙しいからできない、という理由は通ります。
そして、3番目が重要なのですが、「助けてあげたい気持ちはあるけれども、自分にはできないのが残念である」ということを優しく伝えます。
断られたとしても、相手に嫌な気持ちを与えないということです。
それでも、ここまでだと突き放して終わりになってしまいます。
それでは相手も矛先を他に向けることができないので、矛先を変えられるように、誰に頼めばいいのかを教えてあげましょう。
そうしないと、後日再びあなたのところに話を持ってくるか、「あいつがやらない」と文句を広めるかもしれません。
以上のように、「大声をあげる人」というのは中小企業にはよく見られる人種で、しかもかなり厄介な存在でもあります。
彼らをコントロールでいるようになれば、会社員生活の7割は安定すると考えても過言ではありません。